前回の、須佐之男命(スサノオ)の天界での度重なる乱暴騒ぎ・・・
最初はスサノオをかばっていた天照大御神(アマテラス)でしたが、
死人まで出てしまっては、もう庇いようもありません。
むしろ暴虐なスサノオに恐怖を感じたアマテラス。
とうとう天の岩戸の内に引きこもってしまいました・・・
アマテラス、天の岩戸に引きこもる
アマテラスが天の岩屋戸(あめのいわやと:天の岩戸のこと)の内に引きこもったことで、世界は阿鼻叫喚の事態に・・・
高天原は真っ暗になり、葦原の中つ国も光ひとつない暗闇になってしまいました。
永遠に闇の世界になってしまったんです。
こうなってしまうと大変です。
世界には、無数の邪神の声が夏のうるさいハエのように満ち響き、
あらゆる禍(わざわい)が起こるようになってしまいました・・・
八百万の神様たちの対策会議
困ってしまった八百万の神様たち。
天の安の河原(あめのやすのかわら:天界にある川の河原)に集まって対策会議を開きます。
でも、どうにも良い案を思いつきません・・・
そこで高天原の重鎮 高御産巣日神(タカミムスビノカミ)の息子で、
知恵の神の思金神(オモイカネノカミ)に、対策を考えてもらいました。
そこでオモイカネが思いついた案とは・・・
「お祭りするべ!」
えっ、お祭り?
一体どういう事・・・?
八百万の神様たち、お祭りの準備に大わらわ
神様たちはさっそくお祭りの準備に取り掛かります。
ニワトリに鳴かせる
まず常世(とこよ)の長鳴鳥(ながなきどり)を集めて鳴かせました。
長鳴鳥とはニワトリのことです。
ニワトリに鳴かせたのは、日の出を祈る呪術だったようです。
八咫鏡と、八尺勾玉の飾りを造る
次に、天の安河の上流から硬い石(天の堅石:あめのかたしわ)と、天の金山(あめのかなやま)から鉄をとってきて、
伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に八咫鏡(やたのかがみ)を造らせ、
玉祖命(タマノオヤノミコト)には、八尺勾玉(やさかのまがたま)をたくさん連ねた玉飾りを作らせました。
この時造られた八咫鏡と八尺勾玉は、後に三種の神器の内のふたつになります。
咫(あた)と尺(さか)は、昔の長さの単位です。
たとえば咫(あた)は、手の親指と中指を広げた時の長さ。
1咫が18cmとすると、8咫は144cm。
大きな鏡ですね!
ちなみに、あの八咫烏(やたがらす)もこの大きさなんですね!
まあ、ホントはこんな細かい意味はないんです。
ただ「とっても大きい」ってことを表現したいだけ。
昔は、大きいことを「八」という数字を使って表現したんだとか・・・
占いの儀式
続いて占いの儀式です。
天児屋命(アメノコヤネノミコト)と、布刀玉命(フトダマノミコト)を呼んで占わせました。
占いの材料は、天の香山(あめのかぐやま)にいる雄鹿から抜き取った肩の骨。
それに、これも天の香具山からとってきた桜の木です。
飾り付けた巨大な榊
最後に準備したのは榊です。
天の香具山から、よく茂った大きな榊の木を根ごと掘り起こして持ってきました。
枝の上の方には、さっき作った勾玉の玉飾りを取り付け、
枝の中段にも、さっき造った八咫鏡を取り付け、
下の方の枝には、木綿と麻の布を垂らして飾り付けました。
巨大な榊の供え物の完成です!
さて、これで準備完了!
いよいよお祭りの始まりです!
果たして、お祭りでどうやってアマテラスを外に出すつもりなのか!?
次回につづく
次回の話:天照と須佐之男⑤ 天岩戸を開け!八百万の神様のお祭り大作戦