前回、イザナギ母さんのところへ行きたいと、泣いてばかりいた須佐之男命(スサノオ)。
ブチ切れた伊邪那岐(イザナギ)父さんに、とうとう追放されてしまいました。
しかし、まだまだスサノオの問題児っぷりは終わりません。
今度は高天原にいる天照(アマテラス)姉ちゃんと、ひと悶着起こすことになるんです・・・
スサノオ、アマテラス姉ちゃんに会いに行く
イザナギ父さんから追放されたスサノオ、
スサノオ「よし、イザナミ母さんのいる根堅洲国(ねのかたすくに)へ行こう!」
スサノオ「でもその前に、アマテラス姉ちゃんに挨拶していこうっと。」
こうしてスサノオは、天界 高天原(たかまのはら)へと向かったのですが・・・
スサノオが歩くだけで、山や川が揺れに揺れ、国土全体が激しい振動に襲われたんです。
その音を聞いたアマテラスは超びっくり!!
アマテラス「スサノオのやつ、天界を奪おうとしてるのね!」
アマテラスは、スサノオを迎え討とうと完全武装開始!
髪をほどいて「みづら」に束ねると、髪と左右の手に勾玉をたくさん連ねた玉緒を巻き付けた。
さらに、矢が1000本入った矢筒を背負い、脇にも500本入りの矢筒を抱え、
肘には防具をつけて弓を構えると、両足が大地にめり込むほど強く踏みしめた!
そしてほとばしる、アマテラスの絶叫!
アマテラス「何しに上がってきたー!?」
スサノオ「違うよねーちゃん、邪心なんてないよ。挨拶しに来ただけだよ!」
スサノオは今までのいきさつを話し、根堅洲国へ向かう前に挨拶に来ただけだと釈明しました。
でも、アマテラスはなかなか信じてくれません・・・
アマテラス「あんたの言ってることが本当だって、どうしてわかる!?」
スサノオ「じゃあ、お互い誓約(うけい)をして子神を産もうよ。」
誓約(うけい)とは、あらかじめ決めた通りの結果が出るかどうかで、吉凶を判断する占いのこと。
神様同士がものごとの白黒をつける手段として、誓約のシーンが時々出てきます。
アマテラスとスサノオの誓約(うけい)
こうして、アマテラスとスサノオは誓約をすることになりました。
両者は天安河(あめのやすかわ:天界の川)の両岸に立って向かい合います。
本当は、最初に誓約の勝利条件を決めるのですが、この時は何故かそれを決めないまま誓約が始まりました。
三柱の女神の誕生
先ずはアマテラスの番。
アマテラスはスサノオの十束剣(とつかのつるぎ)を3つに折って、井戸水ですすぎました。そして剣を噛みに噛んで吹き出した息の霧から、三柱の女神が生まれました。
長女
多紀理毘売命
(タキリヒメノミコト)
別名 奥津嶋比売命
(オキツシマヒメノミコト)
次女
市寸嶋比売命
(イチキシマヒメノミコト)
別名 狭依毘売命
(サヨリビメノミコト)
三女
多岐都比売命
(タキツヒメノミコト)
この三柱の女神は、福岡県宗像市の宗像大社にお祀りされており、宗像三女神(むなかたさんじょしん)と呼ばれています。
ちなみに、タキリヒメはのちに大国主大神の妻となります。
また、イチキシマヒメは弁天様と同一視されています。
五柱の男神たち
今度はスサノオの番です。
スサノオは、アマテラスの勾玉の玉緒を受け取ると、井戸水ですすぎました。
そして噛みに噛んで吹き出した息の霧から、五柱の男神が生まれました。
左のミズラの玉緒から生まれた神様
正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
(マサカツ アカツ カチハヤヒ アメノオシホミミノミコト)
天孫降臨の神話の ニニギの父親
かずら(頭の飾り)の玉緒から生まれた神様
天津日子根命
(アマツヒコネノミコト)
左手の玉緒から生まれた神様
活津日子根命
(イクツヒコネノミコト)
右手の玉緒から生まれた神様
熊野久須毘命
(クマノクスビノミコト)
古事記では、ここで「この神はだれだれの祖神・・・」という表記が長々と続きます。
つまり、「●●さんは神の子孫」と言っているわけです。
大和朝廷に縁のある有力者について、血筋の正統性をうたったんでしょうか。
まあ、この辺はカットします・・・
スサノオの勝利宣言!
誓約のあと、アマテラスはこう言いました。
アマテラス「男神は、わたしの玉緒から生まれたから私の子。」
アマテラス「女神は、あなたの剣から生まれたからあなたの子ね。」
あれ?
たしか、先に誓約の勝利条件を決めていませんでしたよね。
これではどっちが勝ったのか判りません・・・
その時です。
スサノオ「俺の心が清らかで明るいから、優しい女神が生まれたんだよ。」
スサノオ「この誓約は俺の勝ちだ!」
スサノオはそう言って、アマテラスを押し切ってしまいました。
しかし・・・
誓約の勝利でハッチャケてしまうスサノオ。
この後、高天原はとんだ大騒ぎに・・・
どうする、アマテラス!?
つづく