天穂日命(アメノホヒノミコト)は天照大神の息子で、もともとは天津神なのに、大国主大神をはじめとする出雲系の神と言われています。
何故なんでしょう?
それは古事記などの日本神話の逸話によります。
天穂日命にまつわる神話やご利益についてご紹介します!
天穂日命(アメノホヒノミコト)について
神様の名前
天穂日命(あめのほひのみこと)には、他にもいろいろな漢字が当てられています。
- 天之菩卑能命(あめのほひのみこと)
- 天菩卑命(あめのほひのみこと)
- 天菩比神(あめのほひのかみ)
天穂日命は何の神様か?
天穂日命は何を司る神様なのでしょうか?
それは「ほひ」の解釈の仕方で説が分かれるようです。
- 「ほひ」は「穂霊」の意味だとして、稲穂の神とする説
- 「ほひ」に「火日」の漢字を当てて、太陽神だとする説
今日では、天穂日命(アメノホヒノミコト)は稲穂の神、農業の神といわれているので、①が有力なんでしょうかね・・・・
天穂日命(アメノホヒノミコト)のご利益は、農業のほかにも、産業、国土開発、養蚕、木綿の神様として、日本全国でお祀りされています。
アメノホヒはアマテラスとスサノオの喧嘩で生まれた
さて、天穂日命(アメノホヒノミコト)が生まれたいきさつに関する神話です。
神話は伊邪那岐(イザナギ)とその子供、天照大神と須佐之男命(スサノオノミコト)のお話にまで遡ります。
ちょっと長いお話ですが、聞いてください!
アマテラスとスサノオは姉弟神。
もう一人のツクヨミとともに、イザナギから生まれました。
スサノオは、イザナギ父ちゃんから「海を統治しろ」と命ぜられたのですが・・・
なにもせず、ずっと泣き喚くばかり・・・
おかげで世界はもう大変!
荒れ果ててあらゆる災いが起き続けてしまいました。
こまったイザナギ父ちゃん、スサノオに問いかけます。
イザナギ「おまえ何でずっと泣き喚いてるの?」
スサノオ「死者の国にいる、イザナミ母ちゃんに会いたいんだよ~!」
前にイザナミと大喧嘩して離婚していたイザナギ父ちゃん。
スサノオの言葉にぶち切れます。
イザナギ「そんなら、お前なんか出て行け~!」
スサノオはとうとう追放されてしまいました・・・
さて、ここからが天穂日命(アメノホヒノミコト)誕生のいきさつです。
イザナミ母ちゃんのいる、死者の国へ行くことを決心したスサノオ。
「その前に、天界のアマテラス姉ちゃんに挨拶しておこう。」
そう思って天上界 高天原(たかまのはら)に向かったのは良いのですが・・・
大地をガンガン振動させて近づいてきたものだから、アマテラス姉ちゃんは超警戒しちゃいます。
アマテラス「きっと天界を乗っ取りに来たんだわ!」
アマテラスは完全武装してスサノオを待ち構えました。
アマテラス「あんた何しに来たのよ~!悪さなんかさせないからね!!」
スサノオ「誤解だよ姉ちゃん!挨拶しに来ただけだよ~」
スサノオは一生懸命事情を説明しますが、アマテラスは信じてくれません・・・
スサノオ「じゃあ、誓約(うけい)して神を生もうよ姉ちゃん。」
誓約(うけい)とは、あらかじめ決めた通りの結果が出るかどうかで、吉凶を判断する占いのこと。
神様同士がものごとの白黒をつける手段として、誓約のシーンが時々出てきます。
スサノオは自分を信じてもらうために、神生みで誓約しようと持ちかけ、アマテラスもこれを受けました。
アマテラスはスサノオの剣を噛んで噛んで噛み砕き、ふーっと息を噴出すと三柱の女神が生まれました。
次にスサノオがアマテラスの勾玉を噛んで噛んで噛み砕き、ふーっと息を噴出すと五柱の男神が生まれました。
その時生まれた男神のひとりが、次男の天穂日命(アメノホヒノミコト)です。
長男の天之忍穂耳命(アメノオシホミミ)とともに、「国譲りの章」に再登場します。
ちなみに誓約の結果はと言えば・・・
スサノオ「俺の剣から生まれた女神たちは俺の子だよ。俺の心が清いから女神が生まれたんだよ!」
そう言って押し切ってしまいましたとさ。
余談ですが、この後スサノオは天界で大暴れしてしまい、アマテラスの「天の岩戸」の神話へと続いていきます。
【国譲り】奪え地上界! 天穂日命の活躍(?)
時は流れて、神話は国譲りの章。
天界(高天原:たかまのはら)から地上界(葦原の中つ国:あしはらのなかつくに)を見ていた天照大神。
出雲の国津神 大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)によって、大繁栄しているさまを目の当たりにします。
アマテラス「ムキー! 地上界はもともとイザナギ父さんとイザナミ母さんが作ったものなのに~!!」
アマテラス「地上界は私の息子オシホミミが治めるべきなのよ!」
アマテラスは長男の天之忍穂耳命(アメノオシホミミ)に「地上界を治めよ!」と命じます。
オシホミミはさっそく地上界へ向かいました。
でも・・・
オシホミミはちょっとアレな神様だったんです・・・
オシホミミが天浮き橋(あめのうきはし:天と地の境にある橋)から地上を見たときです。
地上にはやたらと物騒な国津神たちがたくさん・・・
オシホミミ「なんだよ、こわいよ地上界・・・」
怖気づいたのか、オシホミミは途中で引き返して来てしまいました・・・
そして次に白羽の矢が立ったのが、次男の天穂日命(アメノホヒノミコト)!
アマテラスからの命を受けたアメノホヒは、颯爽と地上界へ向けて降りていきました。
でも・・・
それから3年・・・
まったく音信不通・・・
なんとアメノホヒは、オオクニヌシの偉大さに惚れ込んでしまい、地上界で仲良く暮らしていたのでした・・・
なんなんだ、アマテラスの子供たちって・・・
その後2度の使者を送って、ようやく地上界を譲り受けることに成功したのですが、その話はまた別の機会に・・・
国譲りの後の天穂日命はどうなった?
国譲りが行われた後、天穂日命(アメノホヒノミコト)はどうなったのでしょうか?
アマテラスを裏切った罰に処刑された?
いえいえ、そんなことはありません。
実は、天穂日命はそのまま大国主大神に仕えるように命ぜられました。
国譲りの条件として建てられた、大国主大神が住み、祭られるための、天まで届くような立派な宮殿「天日隅宮(アメノヒスミノミヤ)」の祭主となったそうです。
天日隅宮とは、今で言う出雲大社のことです。
アメノホヒは、出雲系の神様になったんですね。
また、天穂日命の子の建比良鳥命(タケヒラトリノミコト)は、出雲国造(いずものくにのみやつこ)などの祖神となったとされています。
出雲においては、国造が代々出雲大社の祭祀を受け継いだそうです。
国造(くにのみやつこ・こくそう)とは、古代日本において地方を治めた官職のこと。またはその官職に就いた人を指す。つまり地方の支配者のポジションだった。
出雲では英雄扱いされている天穂日命
古事記などでは、あまりぱっとしない神様だった天穂日命(アメノホヒ)ですが、出雲では英雄扱いされていたようです。
なぜって、出雲に伝わる神話では、アメノホヒは地上界を平定したそうですから。
出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)という、新任された出雲国造が天皇に対して奏上した寿詞(よごと)があります。
寿詞とは、簡単に言うと臣下が天皇に捧げた祝いの言葉です。
その出雲国造神賀詞の中には、こんな物語があるそうです・・・
国譲りのときに地上界に降り立ったアメノホヒは、地上を駆け回ってその様子を天照大神に報告したんだよ。
さらには、息子のアメノヒナドリ(天夷鳥命)と、剣神 経津主神(ふつぬしのかみ)を連れてまた天降り、地上界の悪神を見事に平定したんだよ。
古事記や日本書紀とは見事に真逆のお話ですね・・・
それは、アメノホヒがアマテラスの息子でありながら、出雲系の神様とされている事を考えれば納得がいきますね。
天穂日命が祀られている主な神社
- 天穗日命神社 鳥取県鳥取市
- 出雲大社境内 氏社 島根県出雲市
- 能義神社 島根県安来市
- 五宮神社 兵庫県神戸市
- 亀戸天神社 東京都江東区
- 雷神社 千葉県旭市
雷神社(らいじんじゃ)は千葉県旭市にある隠れたパワースポット
- 太宰府天満宮境内 天穂日命社
福岡県太宰府市 - 北野天満宮境内 御后三柱
京都市上京区
うちの祖先がアメノホヒノミコトということなのでためになりました。
ノンさん、コメント有難うございます!
天穂日命の子孫とはすごいですね!!
もしかして千家の縁の方ですか?