祝詞の神様、藤原氏(中臣氏)の祖神・氏神 天児屋命(あめのこやねのみこと)。
そんなに知られていない神様なんですが、
古事記の神話ではけっこう要所に出てくるんです。
そんな神様 天児屋命(あめのこやね)の、
神話やご利益についてお話します!
天児屋命(あめのこやね)ってどんな神様?
天児屋命(あめのこやね)は、日本の歴史上有名な、あの中臣氏(なかとみし)の祖神とされている神様です。
中臣氏は宮廷祭祀をつかさどる氏族で、後に栄華を誇ったあの藤原氏となります。
天児屋命の名前の意味は、そのまま直訳すると「高天原にある小屋根」なんですが、
「神様のお告げのあるところ」なんて意味が込められているとか・・・
天児屋命の神話① 天の岩戸
実は天児屋命は、あの天の岩戸の神話で大活躍した神様の一柱なんですよ。
その神話は古事記によるとこんな感じのお話・・・
ここは天界、高天の原(たかまのはら)。
天照大御神は、弟のスサノオの天界での無法っぷりに困っていました。
スサノオが問題を起こすたびに庇っていたのですが、それも限界を越え・・・
とうとう天の岩戸に引きこもってしまいます。
すると世界は闇に包まれ、災厄のオンパレード・・・
慌てた八百万の神様たちは会議を開き、どうすればアマテラス様を岩戸から連れ出せるか話し合いました。
良い案を思いついたのは、知恵の神思金神(オモイカネ)でした。
「岩戸の前でお祭りやって、どんちゃん騒ぎするべ。」
「そんでアマテラス様が気になって戸を開けたら、力づくで引っ張り出すだよ!」
さて、みんなは協力して祭りの準備を勧めました。
鉄を取ってきて鏡を作ったり、勾玉をつくったり・・・
そして迎えたお祭りの日。
お祭りのオープニングセレモニーは、天太玉命(アメノフトダマ)と天児屋命による占いショー!
天の香山(あめのかぐやま)からとってきた、雄鹿の肩の骨とカニワ桜の木を焼いて占いました。
占いが終わると、いよいよお祭り開始!
天太玉命は巨大な榊を取り持ち、
天児屋命が美しい祝詞(のりと)を奏上します。
引きこもってしまった天照大御神に奏上する祝詞です。
天児屋命はきっと、祝詞でアマテラスのことを褒めに褒めて、褒めちぎったんでしょうね。
そして祭りはクライマックスへ!
花を飾ったのは天細女命(アメノウズメ)の神楽舞い!
桶を逆さまにした台の上で、踊って踊っておどりまくります。
興に乗ってストリップを始めてしまったアメノウズメ。
それを観た神様たちは超盛り上がり!
岩戸の外のにぎやかな様子を、アマテラスは不思議に思い、
ほんのちょっとだけ岩戸を開けてこう言いました。
アマテラス「私が引きこもってるから、天も地上も真っ暗なのに・・・」
アマテラス「なんでウズメは踊ってて、八百万の神たちは大笑いしてるの?」
ウズメ「あなた以上に貴い神様がいるの! それが嬉しくて踊ってるのよ♪」
その時、天児屋命と天太玉命が、八咫鏡(やたのかがみ)をこっそりアマテラスに向けて差し出しました。
光り輝く鏡をみたアマテラス。
自分が映っているだけなのですが、それに気づきません。
アマテラス「えっ・・・ ほかの太陽神がいる・・・」
そしてアマテラスが岩戸から出かかったその時です!
「いまじゃ~!!」
脇に隠れていた力自慢の神様 天手力男(アメノタヂカラオ)が、アマテラスを引っ張り出してしまいました・・・
こうして世界にまた光が戻ったのでした。
お祭り作戦大成功!
長くなりましたが、天児屋命が活躍する神話はこんなお話です。
この神話をもっと詳しく読みたいあなたは、こちらをどうぞ!
天孫降臨にも同行した天児屋命
天児屋命は、後の天孫降臨の神話にも登場します。
天孫降臨と言えば、アマテラスの孫の邇邇芸命(ニニギ)が、地上界を統治するために天降った神話です。
天児屋命は、このときニニギに同行して天降ります。
この天児屋命の子孫が中臣氏(なかおみし)、後に栄華を誇った藤原氏だとされています。
天孫降臨の神話はこちらで読めますよ!
天児屋命の神格やご利益
天児屋命の別称
天児屋根命
(あめのこやねのみこと)
天之子八根命
(あめのこやねのみこと)
中臣神
(なかとみのかみ)
春日権現
(かすがごんげん)
春日大明神
(かすがだいみょうじん)
天児屋命は春日大社の御祭神なので、春日権現、春日大明神とも呼ばれます。
天児屋命の神格
- 言霊の神
- 祝詞の神
天児屋命のご利益(ご神徳)
- 学業成就
- 諸願成就
- 開運厄除
- 出世開運
- 国家安泰
天児屋命が祀られている神社
天児屋命が御祭神の主な神社
- 春日大社(奈良県春日市)
- 枚岡神社(大阪府東大阪市)
- 大原野神社(京都市西京区)
- 吉田神社(京都市左京区)
- 蜂田神社(大阪府堺市)
- 五社神社(静岡県長浜市)
そのほか、全国の春日神社にお祀りされています。