日本の神話の神様の一柱、火遠理命(ほおりのみこと)。
あの邇邇芸命(ニニギ)と木花咲耶姫の三男です。
ちょっとのんびり屋で頼りない末っ子って感じの神様ですが
兄を屈服させて、天皇家のルーツのひとりになります。
火遠理命の神話は冒険ものになっていて、かなり面白いですよ!
火遠理命(ほおりのみこと)ってどんな神様?
火遠理命(ほおりのみこと)は、あの天孫降臨の主人公 邇邇芸命(ニニギ)と木花咲耶姫の子ども。
三つ子の三男坊で、天照大御神のひ孫さん。
山幸彦とも呼ばれるようになります。
ニニギと木花咲耶姫が産んだ三つ子
◆火照命
(ホデリノミコト)
◆火須勢理命
(ホスセリノミコト)
◆火遠理命
(ホオリノミコト)
みんな燃えている産屋の中で生まれました。
母の木花咲耶姫が自分で放火したんです・・・
だから、みんな火にまつわる名前になっています。
なぜ放火したのかって言うと、あけすけな性格のニニギにブチ切れたから・・・
名前の意味は「(勢いの)衰えた火」。
ちなみに、長男が「燃え始めの火」
次男が「燃え盛る火」です。
産屋に火がついてから消えるまでの、どのタイミングで生まれたかが判りますね。
火遠理命の神話
火遠理命(ホオリ)にまつわる神話はとっても面白いのですが、かなり長いです。
なので、ここではダイジェスト版でご紹介しますね。
しっかり読みたいあなたは、こちらをどうぞ↓
豊玉姫(トヨタマヒメ)との出逢い
火遠理命(ホオリ)は兄の火照命(ホデリ)から釣り道具を借りて、海で釣りをしていました。
でも、魚は一匹も釣れず・・・
おまけに、うっかり釣針ロスト・・・
兄に何度謝っても、代わりの釣針をいくら作っても許してもらえず、「あの釣針を返せ!」の一点張り。
どうして良いかわからず、海辺でうなだれていました。
そこで出会った潮の神 塩椎神(シオツチガミ)が、「海神の娘に会いなさい。」とアドバイス。
ホオリは言われた通り、海神 綿津見神(ワダツミ) 海の宮殿に向かいます。
さて、無事海の宮殿にたどり着いたホオリ。
策を練って、海神の娘 豊玉姫(トヨタマヒメ)と出逢います。
トヨタマヒメはホオリを見た瞬間
ずきゅん♡
まあ、なんてイケメン♡
ホオリに一目惚れしたのでした。
父の 綿津見神(ワダツミ)はホオリを一目見て、彼が天津神の御子であると気づき大歓待!
そして、そのふたりは直ぐに結婚し、幸せに暮らしたのでした♡
あれ・・・?
結婚しましたって・・・
釣針のことはどうなったんでしょうか・・・
兄ホデリとの戦い
あれから3年・・・
ここは海神の宮殿。
ホデリ「あ~、今日ものどかだなあ・・・」
のんびり、まったりと幸せに暮らしていたホオリ。
でも・・・
なんか忘れてる気が・・・
ホオリ「・・・あっ!」
兄ホデリのことを、ようやく思い出しました。
あれだけ悩んでいたのに、3年も忘れていたんです・・・
いままでのんびり幸せ顔だったのに、急にため息をつきだしたホオリ。
心配した義父と妻に悩みを打ち明けます。
話を聞いたワダツミ、すぐに釣針を見つけ出すと
ホオリに兄を苦しませる呪いの方法を教え、
次に、塩満珠(シオミツタマ)と塩乾珠(シオフルタマ)を渡して、兄を屈服させる方法を教えました。
塩満珠(シオミツタマ)
海を満潮にする力を持つ珠
塩乾珠(シオフルタマ)
海を干上がらせる力を持つ珠
でも、なんで兄を打ち倒す話になったんでしょうね・・・
別に兄は悪くないのに・・・
さて、大きなサメの背に乗ってたった一日で帰ってきたホオリ。
兄に釣針を返す時に呪いの呪文を唱えます。
すると兄の作った田畑は3年連続で不作になり、ド貧乏になってしまいました。
逆にホオリは豊作&豊作で、もう左うちわ状態!
ホデリはホオリの幸運を妬みました・・・
そしてとうとう戦を仕掛けてきます!
ホオリは塩満珠(シオミツタマ)と塩乾珠(シオフルタマ)を使って兄を苦しませました。
そして、とうとうホデリは降参し、ホオリに従属することを誓ったのでした。
こうしてホオリは、正統な天津御子となったのです。
それにしても、豊玉姫(トヨタマヒメ)はどうなったんでしょうか・・・
豊玉姫(トヨタマヒメ)の出産
ある日の海辺でのこと。
トヨタマヒメがホオリを訪ねてきました。
別居してたんですねえ・・・
トヨタマヒメ「あなたの子を妊娠してるの♡」
あれ・・・?
ホデリを屈服させるために、3年かかっていたはずでは・・・
お腹の子と計算が合わないような・・・
トヨタマヒメ「もう生まれそう・・・」
慌てて産屋を造ったのですが、屋根もふき終らないうちに出産が始まりました。
トヨタマヒメ「絶対に見ないでね!」
そう言われると見たくなるのが人の性。
神様だって同じようです。
ホオリはトヨタマヒメの出産を覗いちゃいました。
すると・・・
ホオリ「ぎょえ~~!!」
驚きのあまり叫び声をあげたホオリ。
彼が見たものは・・・
とてつもなく大きなサメの姿でした。
その巨大なサメが這い回り、身をくねらせているのです。
ホオリはその姿を見て恐怖し、一目散に逃げ出してしまいました・・・
本当の姿を見られたことにショックを受けたトヨタマヒメ。
産んだ子をその場におき、海の世界に帰って行ってしまいました。
ちなみに、その時産んだ子の名前は
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命
(アマツヒコ ヒコ ナギサタケ ウカヤフキアエズ ノミコト)
名前の意味はこんな感じ。
「渚で(産屋に)鵜の羽の屋根も吹きあえないうちに生まれた、たくましい天津神で、アマテラスの子孫」
この後、ホオリとトヨタマヒメは切ない愛の歌を交わします。
でも、ふたりが逢うことは二度とありませんでした・・・
以上、ダイジェスト版です。
なんだか機械的な説明になってしまいました。
楽しく、詳しく読みたい方はやっぱりこちらをどうぞ!
火遠理命(ほおりのみこと)の神格とご利益
火遠理命の別名
彦火火出見尊
(ひこほほでみ の みこと)
火折尊
(ほのおり の みこと)
火折彦火火出見尊
(ほのおりひこほほでみ の みこと)
天津日高日子穂穂手見命
(あまつひこ ひこほほでみ の みこと)
火遠理命の神格
- 稲穂の神
- 農業の神
神話のいきさつから、漁業や航海の神としても信仰されています。
火遠理命のご利益(ご神徳)
- 産業隆昌
- 海上安全
- 勝運招来
- 縁結び
- 新願成就
火遠理命が御祭神の主な神社
鹿児島神宮
(鹿児島県姶良郡)
粟鹿神社
(兵庫県朝来市)
若狭彦神社上社
(福井県小浜市)
白羽神社
(静岡県御前崎市)
小野神社
(東京都多摩市)
瀧宮神社
(埼玉県深谷市)