日本の神話の神様 五伴緒(いつとものを)。
いったいどんな神様なんでしょうか?
実は、五伴緒(いつとものを)には、かなり面白い神話があるんです!
その神話を中心にしていろいろとご紹介します!
五伴緒(いつとものを)とはどんな神様たち
五伴緒(いつとものを)とは、次の五柱の神様たちのことを指します。
五伴緒(いつとものを)
- 天児屋命(あめのこやね)
- 天太玉命(あめのふとだま)
- 天鈿女命(あめのうずめ)
- 伊斯許理度売命(いしこりどめ)
- 玉祖命(たまのおやのみこと)
天児屋命(あめのこやね)
天児屋命(あめのこやね)は 言霊の神、祝詞の神と言われています。
名前の意味は「高天原にある小屋根」なんですが、「神様のお告げのあるところ」なんて意味が込められているとか・・・
天太玉命(あめのふとだま)
天太玉命(あめのふとだま)は占いや神事の神様。
天鈿女命(あめのうずめ)
天宇受売神(あめのうずめ)は 芸能の神、鎮魂の神。
猿田彦大神と結婚したともされ、猿女(サルメ)とも呼ばれています。
天の岩戸以外にも、いろいろと逸話の多い女神さまです。
伊斯許理度売命(いしこりどめ)
伊斯許理度売命(いしこりどめ)は 鏡造りの神様。
あの三種の神器のひとつ、八咫鏡(やたのかがみ)を作った神様です。
石凝姥(いしこりどめ)とも書き、その意味は「石で凝(こ)らすおばあちゃん」。
石で作った鋳型(いがた)に、溶けた金属を流し込んで固め、鏡を作るおばあちゃんをイメージしているんだそうです。
年老いた女神さまなんですね。
伊斯許理度売命(イシコリドメ)とはどんな神様?その神話が面白い!
玉祖命(たまのおやのみこと)
玉祖命(たまのおや)は 玉造りの神様。
あの三種の神器のひとつ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作った神様です。
五伴緒(いつとものを)は天降りした神様
五伴緒(いつとものを)が登場するのは、天孫降臨の神話。
天照大御神の孫の邇邇芸命(ニニギ)が、地上界を統治するために天下りした時、
アマテラスの命を受けて、一緒に天降りしたのが 五伴緒(いつとものを)です。
と言っても、天孫降臨の神話では五伴緒(いつとものを)は超脇役です。
天宇受売神(アメノウズメ)だけはいろいろと出番があるんですが、他の神様たちは名前くらいしか出てきません。
でも・・・
実はこの五柱の神様たち、みんな天の岩戸の神話で大活躍してる神様なんです。
五伴緒(いつとものを)は天の岩戸で大活躍した
天の岩戸の神話は有名ですね。あのアマテラスが引きこもった事件です。
時系列では、天孫降臨のだいぶん前のお話です。
五伴緒(いつとものを)の神様たちは、ここで大活躍してます。
神話の内容はこんな感じ…(古事記より)
ここは天界、高天の原(たかまのはら)。
天照大御神は、弟のスサノオの天界での暴れっぷりに困っていました。
スサノオが問題を起こすたびに庇っていたのですが、それも限界を越え・・・
とうとう天の岩戸に引きこもってしまいます。
すると世界は闇に包まれ、災厄のオンパレード・・・
慌てた八百万の神様たちは会議を開き、どうすればアマテラス様を岩戸から連れ出せるか話し合いました。
良い案を思いついたのは、知恵の神 思金神(オモイカネ)でした。
「岩戸の前でお祭りやって、どんちゃん騒ぎするべ。」
「そんでアマテラス様が気になって戸を開けたら、力づくで引っ張り出すだよ!」
さて、みんなは協力して祭りの準備を進めました。
まずは朝の合図にニワトリたちに鳴かせます。
コケコッコ~!
次に、天の安河の上流から硬い石(天の堅石:あめのかたしわ)と、天の金山(あめのかなやま)から鉄をとってきて、
伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に八咫鏡(やたのかがみ)を造らせました。
そして、玉祖命(タマノオヤノミコト)は八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)をつくりました。
ちなみに、八咫の鏡(ヤタノカガミ)や八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)は、
草薙剣(クサナギノツルギ)と合わせて、天皇の皇位の証 三種の神器になります。
さて、いよいよお祭り開始。
オープニングセレモニーは、天太玉命(アメノフトダマ)と天児屋命(アメノコヤネ)による占いショー!
天の香山(あめのかぐやま)からとってきた、雄鹿の肩の骨とカニワ桜の木を焼いて占いました。
占いが終わると、天太玉命が鏡や勾玉、木綿と麻の布などで飾り付けた巨大な榊を取り持ち、
天児屋命が美しい祝詞(のりと)を奏上します。
その時、天手力男(アメノタヂカラオ)が、岩戸の脇にスタンバイしました!
さて、祭りはクライマックスへ!
花を飾ったのは天細女命(アメノウズメ)の神楽舞い!
桶を逆さまにした台の上で、踊って踊っておどりまくります。
うぉ~~~!!
ウズメのダンスに盛り上がる会場!
興に乗ってストリップを始めてしまったアメノウズメ。
あはははは!
もう、神様たちは超大盛り上がり!
アマテラスは、岩戸の外のにぎやかな様子を不思議に思い、
ほんのちょっとだけ岩戸を開けてこう言いました。
アマテラス「私が引きこもってるから、天も地上も真っ暗なのに・・・」
アマテラス「なんでウズメは踊ってて、八百万の神たちは大笑いしてるの?」
ウズメ「あなた以上に貴い神様がいるの! それが嬉しくて踊ってるのよ♪」
その時、天児屋命と天太玉命が、八咫鏡(やたのかがみ)をこっそりアマテラスに向けて差し出しました。
光り輝く鏡をみたアマテラス。
自分が映っているだけなのですが、それに気づきません。
アマテラス「えっ・・・ 私以外にも太陽神がいる・・・」
そしてアマテラスが外を覗こうとして、さらに岩戸を開けたその時です!
「いまじゃ~!!」
脇に隠れていた天手力男(アメノタヂカラオ)が、アマテラスの腕を掴んで外へ引っ張り出しました。
天太玉命が、すかさずアマテラスの後ろにしめ縄の結界を張ります。
天太玉命「これより中には戻れません!」
アマテラス「・・・!」
こうして無事アマテラスを天の岩戸から引っ張り出し、
世界にまた光が戻ったのでした。
お祭り作戦大成功!
はい、天の岩戸の神話はこんな感じです。
五伴緒(いつとものを)出てきましたねえ~!
ここで活躍した五柱の神様たちが、後にニニギの天降りに付き従い 五伴緒(いつとものを)と呼ばれることになるんです。
ちなみに、同じく天の岩戸で活躍した 思金神(おもいかね)と天手力男(あめのたぢからお)も、ニニギの天降りに随伴しています。
詳しい神話はこちら!