今回ご紹介するのは 石長比売(イワナガヒメ)。
あの木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)のお姉さんです。
巷では妹ばかりが有名で、石長比売はあまり知られていません。
しかも、妹は絶世の美女なのに、石長比売はなんかかわいそうで・・・
石長比売(イワナガヒメ)はどんな神様?
石長比売は、永遠性を象徴する女神様。
「石(いわ)のように、永く変わることのない女性」って意味なんだそう。
そして、その容姿はとてもブサイク…
妹の木花咲耶姫は「桜の花が咲き誇るように美しく、そして儚い」って感じなので、
姉の石長比売とは逆ですね。
石長比売の神話は、その容姿せいでちょっと可哀想になるようなお話です。
そして、天津御子(天皇)の寿命に、重大な影響を及ぼした神様でもあります。
まずはその神話からご紹介しますね!
石長比売の神話
石長比売が神話に登場するのは、天孫降臨の章です。
天孫降臨の神話は、天照大御神の孫 邇邇芸命(ニニギ)のお話なのですが、
このニニギがちょっと天然っぽいところがあって、
そのせいで石長比売はかなり嫌な想いをします・・・
天照大御神の命により、地上界を統治するため日向(ひむか)の高千穂(九州南部)に天降りした邇邇芸命(ニニギ)。
ある日のこと、岬を歩いているとひとりの少女に出会いました。
ニニギ「うん・・・? うわ、めちゃ可愛い♡」
その少女こそが、木花咲耶姫だったんです。
ニニギは、彼女にひと目惚れしてしまいました。
そしてこう言います。
「君と一発やりたい!」
おいおい、直球勝負か~!
古事記には、このセリフは「目合わせむと欲ふ」と書いてあります。
「エッチしたい」って意味です・・・
あけすけな言い方ですが、つまりは求婚なんです、求婚!
さて、父の大山津見神(オオヤマツミ)。
娘が天照大御神の孫と結婚できると聞いて大喜び!
たくさんの結納品を添えて、木花咲耶姫を嫁に出しました。
ところが・・・
添えられていたのは、結納品だけじゃなかったんです・・・
さて、木花咲耶姫を迎えたニニギ。
彼女の横に、もうひとり女性がいることに気づきます。
従者でしょうか?
ただ・・・
その容姿がまたなんとも・・・
めっちゃブサイク!!
ニニギ「あの・・・この人だれ?」
サクヤ「姉の石長比売(イワナガヒメ)です。私と一緒にあなたに嫁ぎます♡」
ニニギ「えっ・・・ 」
イワナガヒメ「よろしく~、ブフ♡」
ニニギ「・・・!!」
ニニギは、イワナガヒメの容姿に圧倒されています。
このブサイクも俺の嫁・・・?
どうするニニギ・・・!?
そして・・・
ニニギ「ブスは無理~!!」
ニニギはにべもなく、イワナガヒメを突き返してしまいました。
でも、オオヤマツミが娘ふたりをセットで寄こしたのには、大きな理由があったんです。
これが、オオヤマツミがニニギにあてた言葉です。
私が二人の娘を嫁に出したのには
大事な理由があったのです。
イワナガヒメがあなたの妻となれば
天津神の皇子(ニニギ)の命は
雪が降り、風が吹いても
常に岩のように固く長く動かず
変わらないでしょう。
木花咲耶姫を嫁にしたならば
桜が咲き誇るように栄えるでしょう。
ところが・・・
あなたはイワナガヒメを送り返し
木花咲耶姫だけを留めた。
だから天津神の皇子(ニニギ)の寿命は
桜の花のように儚いものとなるでしょう・・・
というわけで、今に至るまで、天皇の寿命は限りあるものになったのです。
石長比売、なんだか可哀想ですねえ・・・
まあ、ニニギは末代まで続くしっぺ返しを受けたし、これでおあいこですかね。
神話の詳しい内容はこちらで!
石長比売の神格とご利益
石長比売の神格
- 岩の神
- 永遠性を司る神
- 寿命長久の神
石長比売のご利益
- 縁切り
- 延命長寿
- 縁結び
京都の貴船神社では、石長比売を縁結びの神様としてお祀りしています。
石長比売が御祭神の神社
- 雲見浅間神社(静岡県)
- 大室山浅間神社(静岡県伊東市)
- 伊豆神社(岐阜県岐阜市)
その他多くの浅間神社に、木花咲耶姫と合祀されています。
大室山の浅間神社のエピソード
伊豆にある大室山(おおむろやま)。
小さいけど美しい形をした火山です。
参照:大室山登山リフト
スキー場にあるようなリフトで、あっという間に頂上に登れちゃいます。
頂上からの眺めがとても良く、天気が良ければ富士山だって観ることができます。
でも・・・
大室山では、決して富士山を誉めてはいけないそうです。
「大室山で富士山を褒めると、良くない事が起こる・・・」
そんな言い伝えがあるからです。
なんでこんな言い伝えが生まれたのか?
それは、大室山の頂上にある浅間神社には、石長比売がお祀りされているからです。
富士山を誉めることは、つまり妹の木花咲耶姫を誉めること・・・
大室山でそんなことをすると、石長比売が怒っちゃうんだそうですよ。
私はそんなことを知らなかったので
大室山で、知人に木花咲耶姫と石長比売の話をしちゃいました・・・
「可愛い妹とブスな姉」って・・・
ヤバいかも・・・