前回、弟宇迦斯(オトウカシ)の密告により
兄宇迦斯(エウカシ)の罠を見破り
無事宇陀の地を平定した神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコ)
さて、神武東征はまだまだ続きます。
そして、次に待っている者たちは!?
前の話:神武東征⑤ 兄宇迦斯(エウカシ)と弟宇迦斯(オトウカシ)
カムヤマトイワレビコと土蜘蛛(ツチグモ)
宇陀の地を出発し、さらに進んだ神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコ)軍団。
次は忍坂(おさか:奈良県桜井市忍阪)にやってきました。
グルルルル・・・
うん・・・?
なにやら獣のうなり声のような音がします・・・
あたりを見回すと、前方の岩屋になにかがいます。
それは、尾の生えたたくさんの男たち。
土雲八十建(ツチグモヤソタケル)でした。
土蜘蛛(つちぐも)= 土雲
古事記では土雲と表記されています。
土蜘蛛と言っても妖怪の類ではなく、大和朝廷と対立していた勢力を指しているのでしょう。
土蜘蛛へ御馳走をふるまう
部下「戦いますか?」
カムヤマト「いや、俺に考えがある…」
カムヤマトイワレビコは、土蜘蛛たちに御馳走をふるまいました。
たくさんいる土蜘蛛に、ひとりずつ専属料理人をあてがう、という厚遇ぶりです。
彼らを懐柔するつもりなんでしょうか?
ところが・・・
カムヤマトイワレビコは、料理人たちに刀を持たせるとこう言いました。
カムヤマト「歌が聞こえたら、一斉に切り殺せ。」
え~!?
天津御子にしては、なんだか卑怯なやり口のような・・・
でも、これはきっと謀略なんでしょうね・・・
よくあるやつです。
カムヤマトイワレビコの久米歌
宴もたけなわのころ。
機を見て、カムヤマトイワレビコは久米歌を歌い始めました。
それはこんな感じの歌でした・・・
忍坂の大室屋(おおむろや)に
人がたくさん入っている
人がたくさんいようとも
勇ましい久米の子たちが
太刀や石鎚で撃ってしまうぞ
勇ましい久米の子たちが
太刀や石鎚でいま撃つが良い
(久米:軍事を司る氏族)
そして、カムヤマトイワレビコがその歌を歌い終わったときです。
料理人たちは一斉に刀を抜くと
ザシュッ!!
土蜘蛛たちを切り殺してしまいました。
カムヤマトイワレビコは、これで忍坂を平定したのでした。
さて、これからいよいよあの登美毘古(トミビコ)との再戦が待ち受けています。
トミビコに打ち勝つために、紀伊半島を延々と回り込んできたカムヤマトイワレビコ。
果たして、兄 五瀬命(イツセ)の仇をとれるのか!?
つづく
次の話:神武東征⑦ 神倭伊波礼毘古命の歌