日本の神話の神様 神産巣日神(かむむすびのかみ)。
あまり聞かない名前ですね。
でもこの神さま、実はとんでもなく偉い方なんです。
神産巣日神について、その神話を中心にして
ご利益やお祀りしている神社なんかもご紹介します!
神産巣日神が生まれた神話
まずは、神産巣日神(かむむすび)が誕生した神話からいきましょう。
お話は天地創生の頃。神話の冒頭部分です。
神話はこんな感じ・・・
最初、この宇宙は形さえ定まらず、混とんとしていました。
その宇宙に天地のようなものが現れ始めたとき・・・
高天原に最初の神が成りました。
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天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)です。
そしてすぐに姿を隠してしまいました。
そして、次に成った神様が 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。
その次に成ったのが 神産巣日神(かむむすびのかみ)。
どちらも現れたと思ったら、すぐに姿を隠してしまいました。
おしまい
はい、これでおしまいです。
現れたと思ったら、すぐに隠れてしまいましたね。
「成る」という言葉は、この場合「生まれる」「完成する」という意味です。
最初に現れた天之御中主神(あめのみなかぬし)は、もう登場することはありません。
でも、神産巣日神は、これからもちょくちょく登場します。
神産巣日神ってどんな神様?
神産巣日神は、この世界に3番目に生まれてきた神様です。
日本の神話の神様は、男女ペアで生まれてくることが多いんですが
神産巣日神はひとりで生まれてきた、性別のない独神(ひとりがみ)です。
性別はないんですが・・・
同じ独神の高御産巣日神を男の属性を持つ神様、そして神産巣日神を女の属性を持つ神様として、
この二柱がペアだと考えるそうです。
ちなみに神産巣日神、独神なのに子どもがいます。
どういうことなんでしょうね・・・
神様って謎が多いです。
また、最初に生まれた天之御中主神(あめのみなかぬし)、
2番目に生まれた高御産巣日神(たかみむすび)、
そして神産巣日神の三柱を造化三神(ぞうかのさんしん)と呼びます。
また、続いて生まれる二柱の神様と合わせて、別天津神(ことあまつかみ)とも呼ばれています。
神産巣日神の名前の意味
神産巣日神(かむむすび)の名前には、どんな意味があるんでしょう?
神(カム):神々しい
産巣(ムス):生じる、生成する
日(ビ):霊、霊力
つまり神産巣日神は、「神々しく生成する力」を神格化した神様って感じですね。
これって、高御産巣日神と同じですよね。
実は、高御産巣日神は天の属性、神産巣日神は地の属性を持っているようです。
実際の神話でも、高御産巣日神は高天原の重鎮ですし、
神産巣日神は地上界の国津神をよく助けてくれるんですよ。
神産巣日神の登場する神話①
地上界の国津神を良く助けてくれるという神産巣日神。
どんな神話に登場するんでしょうか?
それは、大国主の国作りの神話です・・・
神話はこんな感じ・・・
大国主大神は出雲の国津神。
地上界 葦原の中つ国(日本)を築き、大繁栄させた偉大な神様です。
これは、大国主がまだオオナムチと呼ばれていた頃のお話です。
オオナムチには、八十神(やそがみ)というたくさんの兄たちがおり、
末っ子のおオオナムチは、従者のようにこき使われていました・・・
そんなある日のこと・・・
因幡に、とっても美しい八上比売(ヤガミヒメ)という女性がいると聞いた兄たち。
さっそく求婚しようと因幡に向かいます。
もちろんオオナムチも荷物持ちとして同行しました。
途中でオオナムチはウサギを助けたりしたのですが・・・
いまはそんな事どうだっていいんです。
問題なのは八上比売(ヤガミヒメ)のことなんです。
実は八上比売、八十神兄さんたちの求婚を断ったんですが、
その断り方がヤバかった!
「私はオオナムチと結婚するの♡」
なんて言っちゃったんですよ・・・
もう八十神兄さんたちは大激怒!嫉妬の嵐!!
オオナムチを罠にはめて、殺してしまいました・・・
オオナムチの死をとても悲しんだ母は、高天原の 神産巣日神に会いに行きます。
母「息子を助けて!!」
カムムスビ「よし、まかせなさい。」
カムムスビ「赤貝とハマグリ、助けに行ってきて。」
こうして、赤貝の神と、ハマグリの神が地上へ向かいました。
そしてオオナムチのために秘薬を作ります。
赤貝の神は、赤貝を削って粉を作り、
ハマグリの神は、その粉をハマグリ汁に溶かしました。
じゃじゃ~ん、お薬完成~!
これは大昔の火傷のお薬です。
貝の神様は、その薬をオオナムチの体に塗ります。
するとオオナムチはたちまち生き返り、すっかり元気になったのでした!
大国主の国作りの神話はこちらで読めますよ!
神産巣日神の登場する神話②
神産巣日神は、国作りの神話にもう一度登場します。
それはこんなお話・・・
スサノオの度重なる試練を乗り越え、たくさんの妻を娶り
子どもをじゃんじゃん作った大国主。
でも、国作りはまだまだこれからです。
そんある日、大国主が海にやってきた時のこと。
沖の方から、なんか小さなものがやって来ました・・・
大国主「なんだあれ? 小さいなあ・・・」
良~く見てみると、ガガイモで造った小さな船です。
ガガイモってこれです。
船の上には、蛾(が)の皮で作った服を着た、これまた小さな神様が乗っています。
大国主「あんた誰?」
小さな神「・・・」
大国主「・・・」
小さな神はなんにも答えません・・・
その時、一匹のヒキガエルがこう言いました。
カエル「かかしの久延毘古(クエビコ)が知ってるケロ!」
クエビコは田んぼの案山子(カカシ)で田の神様。
カカシだから動けないけど、実はかなりの物知りなんです。
知恵の神・知識の神とも言われています。
大国主はクエビコに訊いてみました。
カカシ「それは、神産巣日神(カムムスビノカミ)の子で、少名比古那神(スクナビコナノカミ)ですな。」
なんと! スクバビコナはあの神産巣日神の子!?
大国主は、スクナビコナのことを神産巣日神に報告してみました・・・
すると・・・
カムムスビ「お~!そりゃあ私の子だあ!」
カムムスビ「いつだったか、指の間からこぼれ落ちちゃったんだよねえ~。」
カムムスビ「大国主さあ、スクナビコナと兄弟になってさ、いっしょに国を作り固めなさいよ。」
という訳で、大国主とスクナビコナは、一緒に国作りに励むことになったのでした。
おしまい
というわけで、大国主は頼りになるパートナーを得たのでした。
大国主の国作りの神話はこちらで読めます!
スサノオとオオゲツヒメの神話にも出てくる高御産巣日神
高御産巣日神は、他にも須佐之男命(スサノオ)と大気津比売神(オオゲツヒメ)の神話にも出てきます。
これは、国作りの神話よりもだいぶん前のお話です。
神話はこんな感じ・・・
天の岩戸事件のあと、天界を追放されてしまった須佐之男命(スサノオ)。
食べものを求めて 大気津比売神(オオゲツヒメ)の所へやって来ました。
スサノオ「なんか食べ物をくれ・・・」
オオオゲツヒメ「いいわよ、ちょっと待っててね♡」
オオゲツヒメは食物の神様です。
きっと美味しいものをご馳走してくれるに違いありません。
いそいそと調理場に入っていくオオゲツヒメ。
すると・・・
おえ~~!
ゲロゲロゲロ~!
なんかすごい音が響いてきました。
スサノオ「なにこの音・・・!?」
嫌な予感しかしないスサノオ、調理場をこっそり覗いてみると・・・
なんとオオゲツヒメが、鼻や口から食べ物を吐き出していたんです。
しかも、お尻の穴からも食べ物をドバドバ出してます・・・
美味しそうだけども、スカトロな食材で料理をつくるオオゲツヒメ。
スサノオ「こんなの食えるか~!」
怒ったスサノオは、オオゲツヒメを殺してしまいました。
すると、殺した女神様からいろいろなものが生まれたんです。
オオゲツヒメの死体から生まれた物
- 頭から蚕
- 二つの目から稲の種
- 二つの耳から粟
- 鼻から小豆
- 陰部から麦
- 尻から大豆
天界の重鎮 神産巣日神(カムムスビ)がこれらを拾って、
穀物の種として地上に授けたのでした。
神産巣日神、最後に登場しましたね~。
また地上界のために動いてくれてます。
この神話を詳しく読みたいならこちらへ!
神産巣日神の神格やご利益
神産巣日神の神格
- 生成の神
神産巣日神のご利益(ご神徳)
- 五穀豊穣
- 縁結び
- 厄除け
- 開運招福
- 延命長寿
- 無病息災
神産巣日神に関わりある神様
大国主大神(おおくにぬしおおかみ)
少名比古那神(すくなびこなのかみ)
神産巣日神をお祀りする主な神社
- 足立山妙見宮(福岡県北九州市)
- 出雲大社(島根県出雲市)
- 高牟神社(名古屋市千種区)
- 東京大神宮(東京都千代田区)
- 安達太良神社(福島県本宮町)
- 八所神社(山形県西置賜郡)
出雲大社は島根県出雲市です。
ご指摘ありがとうございます。さっそく間違いを修正しました。