天照大御神(アマテラス)の命を受け、
葦原の中つ国を統治するために天降った邇邇芸命(ニニギ)。
日向の高千穂に本拠を構えて宮殿も完成し、
いよいよこれから地上界での生活が始まります。
そしてニニギは、これからひとりの美少女と出逢うことになります。
その美少女の名前は・・・
ニニギ、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)に出逢う
ある日のことでした。
ニニギが笠沙の岬(かささのみさき:鹿児島県の野間岬)を歩いていると・・・
前方に誰かいます・・・
少女のようです・・・
ニニギ「うん・・・? ウホ!超美少女~!」
なんとニニギ、この少女に一目惚れしてしまいました。
日本の神話では、よくあるパターンですね。
ニニギ、さっそくその美少女に話しかけます。
ニニギ「こんにちは~! 君は誰の娘さん?」
サクヤ「私は大山津見神(オオヤマツミ)の娘の 神阿多都比売(カムアタツヒメ)です。」
サクヤ「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)ともいいます。」
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)
古事記では 木花佐久夜毘売 と表記しています。
ニニギ「そうか~、サクヤちゃんかあ~。可愛いね♡」
サクヤ「まあ♡」
ニニギ「兄弟はいるの?」
サクヤ「石長比売(イワナガヒメ)という姉がいます。」
ニニギ「へえ~。君と結婚したい!!」
きたーー!!
日本の神話おなじみのイキナリ求婚!
ニニギの「結婚したい。」というセリフですが、古事記には「目合わせむと欲ふ」と書いてあります。
これは、「一発やりたい♡」と訳したほうがより正解かもしれません。
けっこう身もフタもない表現のようなんです・・・
オオヤマツミ、たいそう喜ぶ
サクヤ「お父さんに聞いてみないと・・・」
ニニギの突然の求婚に驚いたコノハナサクヤヒメでしたが、その場で断ることはしないようですね。
ニニギは早速オオヤマツミに使者を送りました。
使者の話を聞いたオオヤマツミはとっても喜びます。
なんせ、相手はあの天照大御神(アマテラス)の孫です。
玉の輿です。
父が歓喜するのも当然です。
オオヤマツミは、たくさんの結納品を添えて、木花咲耶姫を差し出しました。
でも・・・
実は・・・
添えられていたのは、結納品だけではなかったんです・・・
そしてそのせいで、ニニギの身に取り返しのつかない異変が起こってしまうんです・・・
木花咲耶姫に添えられていたもの
こうして、木花咲耶姫はニニギのもとに到着しました。
ニニギ「よく来てくれたね、待ってたよサクヤ♡」
木花咲耶姫にそう言葉をかけたニニギ、
彼女の横に、もうひとり女性がいることに気づきます。
従者でしょうか・・・
ただ・・・
その容姿がまたなんとも・・・
超ぶさいく!!
ニニギ「あの・・・この人だれ?」
サクヤ「姉の石長比売(イワナガヒメ)です。私と一緒にあなたに嫁ぎます♡」
ニニギ「えっ・・・ 」
イワナガヒメ「よろしく~、ブフ♡」
ニニギ「・・・!!」
ニニギは、イワナガヒメの容姿に恐れすら感じてしまいました。
どうするニニギ・・・!?
ニニギ「ブスは無理~!」
ニニギはにべもなく、イワナガヒメを突き返してしまいました。
そしてその夜、ニニギは木花咲耶姫とだけ交わったのです。
ニニギの寿命が・・・
イワナガヒメだけが返ってきたことを、父のオオヤマツミはとっても悲しみました。
実は、木花咲耶姫の結婚に姉のイワナガヒメを添えたのには、とっても大事な理由があったんです。
オオヤマツミは、ニニギに次のように申し送りました。
私が二人の娘を差し出したのには
大事な理由があったのです。
イワナガヒメがあなたの妻となれば
天津神の皇子(ニニギ)の命は
雪が降り、風が吹いても
常に岩のように固く長く動かず
変わらないでしょう。
木花咲耶姫を嫁にしたならば
桜の花が咲き誇るように栄えるでしょう。
そう誓約(うけい)をしていたのです。
(※誓約とは、古代の占いの一種)
ところが
あなたはイワナガヒメを送り返し
木花咲耶姫だけを留めたので
天津神の皇子(ニニギ)の寿命は
桜の花のように儚いものとなるでしょう・・・
こうして今に至るまで、天皇の寿命は限りあるものになったのです。
つづく
次の話:木花咲耶姫② 「 本当に俺の子なの?」と疑う邇邇芸命(ニニギ)