古事記の神話において、別天津神(ことあまつかみ)とは、
この世界に最初に成った(生まれた)五柱の神様のこと。
でもマイナーな神様ばかりです・・・
特別扱いされてる神様たちなのに、あまり知られていません。
だって、ほとんど神話に出てこない神様ばかりだから。
そんな別天津神は、いったいどういう神様なんでしょうか?
その神話やご利益、お祀りしている神社について解りやすくご紹介します!
※古事記の神話をベースにしています。
別天津神(ことあまつかみ)の神話
別天津神(ことあまつかみ)が、古事記に登場するのは、神話の一番最初の「天地創生(天地開闢)」の頃。
神話はこんな感じ…(古事記より)
最初、この宇宙は形さえ定まらず、混沌としていました。
その宇宙に天地のようなものが現れ始めたとき・・・
高天原に最初の神が成りました。
(成る=生まれる)
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)です。
そしてすぐに姿を隠してしまいました。
次に成った神様が 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。
その次に成ったのが 神産巣日神(かむむすびのかみ)。
どちらも現れたと思ったら、すぐに姿を隠してしまいました。
ここまでの三柱の神様を、造化三神(ぞうかのさんしん)と呼びます。
このころの大地はまだ固まっておらず、水に浮く油のよう・・・
宇宙を海のクラゲのように漂っていました。
そこに、まるで葦(アシ)の芽のように勢いよく成長するものから生まれた神がありました。
それが宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)。
そして次に生まれたのが、天之常立神(あめのとこたちのかみ)です。
この二柱の神様も、すぐに姿を隠してしまいました。
ここまでに生まれてきた神様は、みな性別がなくひとりで生まれてきた独神(ひとりがみ)。
そしてこの五柱の神様を別天津神(ことあまつかみ)と呼びます。
おしまい
はい、別天津神(ことあまつかみ)の神話はこれでおしまい。
つまり別天津神とは、この宇宙の始まりに登場した、五柱の高貴な神様ってこと。
それくらいしか解りません。
だって、古事記にはそこのところ詳しく書いてませんから・・・
別天津神の大半の神様は、これっきり二度と登場しません。
後の神話にも出てくるのは、高御産巣日神と神産巣日神だけです。
それでは、それぞれの神様について見ていきましょう。。
至高の神 天之御中主神(あめのみなかぬし)
天之御中主神(あめのみなかぬし)は、この宇宙に最初に成った神様。
「天(宇宙)の中心にいます神」って意味の名前で、まさに至高の神。
日本神話の最高神です。
天之御中主神について、詳しく知りたいならこちら
天之御中主神の神格とご利益
天之御中主神の神格
- 宇宙の根源神
天之御中主神のご利益(神徳)
- 長寿
- 病気治癒
- 安産
- 開運招福
- 事業成就 など
天之御中主神をお祭りしている神社
- 岡太神社(兵庫県西宮市)
- 星田妙見宮(大阪府交野市)
- 秩父神社(埼玉県秩父市)
- 東京大神宮(東京都千代田区)
- 千葉神社(千葉市中央区)
- 相馬中村神社(福島県相馬市)
- 相馬太田神社(福島県原町市)
- 青麻神社(宮城県仙台市)
天の生成の神 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
2番目に成った神、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。
すぐに姿を隠しましたはずなのに、高天原のナンバー2になってます。
この後の神話にも何度か出てきます。
性別のない独神(ひとりがみ)なのに、男性の属性を持っています。
女性の属性を持った神産巣日神と対を成す言われてます。
といっても夫婦ではありませんよ。
高御産巣日神にはちゃんと妻がいます。
性別ないのにおかしいですね・・・
高御産巣日神について、詳しく知りたいならこちら
高御産巣日神の神格・ご利益
高御産巣日神の神格
- 天の生成の神
- 高木の神
高御産巣日神のご利益(神徳)
- 開運招福
- 生産
- 厄除け
- 縁結び
- 延命長寿
- 無病息災
高御産巣日神をお祀りする神社
- サムハラ神社(大阪市西区)
- 天津神社(京都市北区)
- 高天彦神社(奈良県御所市)
- 四柱神社(長野県松本市)
- 東京大神宮(東京都千代田区)
- 安達太良神社(福島県本宮市)
地の生成の神 神産巣日神(かむむすびのかみ)
3番目に成った神様 神産巣日神(かむむすびのかみ)。
さっきもお話したように、高御産巣日神と対を成す神様です。
男女の対のほかにも、天と地の属性でも対を成しているようです。
高御産巣日神が、高天原で天照大神と共にいるのとは対照的に、
神産巣日神は地上界をよく助けてくれます。
この後の神話にも、地上界や国津神がらみで度々登場しますよ。
神産巣日神について、詳しく知りたいならこちら
神産巣日神の神格・ご利益
神産巣日神の神格
- 地の生成の神
神産巣日神のご利益(神徳)
- 五穀豊穣
- 縁結び
- 厄除け
- 開運招福
- 延命長寿
- 無病息災
神産巣日神をお祀りする神社
- 足立山妙見宮(福岡県北九州市)
- 出雲大社(鳥取県出雲市)
- 高牟神社(名古屋市千種区)
- 東京大神宮(東京都千代田区)
- 安達太良神社(福島県本宮町)
- 八所神社(山形県西置賜郡)
生命力の神 宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)
4番目に成った神様 宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)。
天地がちょっと固まりかけ、でもまだまだ水に浮く油やクラゲのように漂っていた頃、
まるで葦(あし)の芽が勢い良く伸びているようなものから成った神様です。
葦(あし)とは、今でいう葦(よし)という植物のこと。
古代の日本では、葦の茂る土地は豊かな土地だと思われていました。
ちなみに、この神様の名前に込められた意味はこんな感じ。
混沌(泥)から勢いよく成長する葦の芽のような素晴らしい男神
この後の神話には登場しません。
宇摩志阿斯訶備比古遅神について詳しく知りたいならこちら
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神格・ご利益
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神格
- 生命力を神格化した神
宇摩志阿斯訶備比古遅神のご利益(ご神徳)
- 農業守護
- 五穀豊穣
- 開運招福
- 健脚
- 交通安全
- 足の病の治癒
宇摩志阿斯訶備比古遅神をお祀りする神社
- 高見神社(福岡県北九州市)
- 浮島神社(愛媛県東温市)
- 出雲大社(島根県出雲市)
- 物部神社( 島根県大田市)
- 蟻通神社(大阪府泉佐野市)
- 石切剱箭神社(大阪府東大阪市)
- 出雲路幸神社(京都府京都市)
- 胸形神社(栃木県鹿沼市)
天の恒久性を表す神 天之常立神(あめのとこたち)
別天津神の最後になった神様 天之常立神(あめのとこたち)。
この後の神話には出てきません。
名前の意味は
天(高天原)が恒久に成り立ったことを象徴する神
つまり、天、高天原の恒久性を神格化した神様で、この次に生まれてくる 国之常立神(くにのとこたち)と対を成しています。
ちなみに、国之常立神は大地の恒久性を神格化した神様で、こちらの神様の方がかなりメジャーです。
天之常立神について詳しく知りたいならこちら
天之常立神の神格・ご利益
天之常立神の神格
- 天の土台の神
- 天の恒常性の神
天之常立神のご利益(神徳)
- 産業開発
- 必勝祈願
- 交通安全
天之常立神をお祀りする神社
- 出雲大社(島根県)
- 金持神社(鳥取県)
- 吉備津彦神社(岡山県岡山市)
- 胸形神社(栃木県鹿沼市)
- 駒形神社(岩手県水沢市)