国譲りを企んで、息子たちを送りこんだ天照大御神(アマテラス)ですが
長男のオシホミミは途中で引き返し・・・
次男のアメノホヒは大国主に寝がえり・・・
なんだかもう散々です・・・
そしてアマテラスは、新たな使者を送ることになるのですが・・・
その結果やいかに!
前回の話:神社の神様 国譲り神話① 奪え地上界!天照大神の策略
※挿絵は適当なので、突っ込みしないでね(‘ω’)
新たな使者は 天若日子(アメワカヒコ)
天穂日命(アメノホヒ)を遣いに出してからもう3年。
いまだになんの音沙汰もありません・・・
まあ、彼は寝返ってるのだから当然なのですが(-_-;)
困ったアマテラスと高御産巣日神(タカミムスビ)。
また思金神(オモイカネ)をはじめ、八百万の神々を集めて大会議です。
アマテラス「オモイカネ! あんたの推したアメノホヒさあ。」
アマテラス「遣いに行ったきり3年も連絡ないんだけど、これどうすんの!?」
オモイカネ心の声(どうすんのって、あんたの息子じゃろ・・・)
オモイノカネ「そうですなあ・・・ 今度は天若日子(アメワカヒコ)を使者にするべきですな。」
アメワカヒコは天界きってのイケメンで、弓の名手です。
彼は天麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と、天波波矢(あめのははや)を与えられ、颯爽と地上界へ向かいました。
- 天麻迦古弓(あめのまかこゆみ)
鹿をも一射で仕留める弓。光り輝く弓 - 天波波矢(あめのははや)
羽根のついた矢。鹿を射るための矢
天若日子の裏切り
こうしてアメワカヒコは地上界に降り立ち、
大国主大神と国譲りの交渉を行うため、出雲の国までやってきたのでした。
さあ、アメワカヒコは大国主との交渉に挑みます!
その結果は!?
・・・
・・・・・・・
アメワカヒコは結婚しました(-_-;)
結婚した相手の名は下光比売命(シタデルヒメ)。
大国主と、その妻で「宗像三女神」の長女 多紀理毘売命(タキリビメ)の娘です。
参考:神社の神様 大国主の国作り⑨ 大国主の女性遍歴と子どもたち
一体なんでこうなったのか!?
- アメワカヒコはシタデルヒメに一目惚れした?
- 大国主に手なずけられた?
どっちなんでしょうねえ・・・
私は後者のような気がします・・・
だって、アメワカヒコは葦原の中つ国を乗っ取って、自分が王になろうと企んでいたのだから・・・
それを一枚上手の大国主に看破され、上手く丸め込まれたのでは・・・
どちらにしても、アメワカヒコが天津神を裏切ったのは間違いありません。
使いの鳥 雉の鳴女(ナルメ)
今度は8年待っても何の音沙汰もなし・・・
ほとほと困ったアマテラスとタカミムスビ。
またまた八百万の神様たちを集めます。
アマテラス「いったいどうなってんの!? 私は理由を知りたいのよ!」
オモイカネ「じゃあ、雉(きじ)の鳴女(ナルメ)を行かせましょう。」
アマテラス「じゃあナルメ! アメワカヒコに、なんで8年も戻らず、連絡さえくれないのか訊いてきて!」
ナルメ「わかりました~!」
こうしてナルメは地上界にやって来ると、アメワカヒコの家の門の木に止まりました。
ナルメ「なんで8年も戻ってこないの? なんで連絡くれないの?」
それを聞いたのは怪しげな巫女さん、アメワカヒコにこう言います。
巫女「この鳥の鳴き声は不吉じゃあ! 殺してしまえ~!」
アメワカヒコ「よっしゃ~!」
グサッ!!
アメワカヒコは天界でもらった弓矢で、ナルメを射殺してしまいました。
天若日子死す!
ナルメの胸を貫通した矢は、勢い余って天界のタカミムスビのところまで飛んで行きました。
タカミムスビ「これは・・・!? アメワカヒコにあげた矢やないか!」
羽根には血がべっとり・・・
何かを悟ったのか、 タカミムスビはその矢を地上に向けると、
タカミムスビ「もしアメワカヒコが裏切ってないなら当たるな。」
タカミムスビ「邪心があるなら、矢に当たって死んじゃえ!」
そう言って突き返しました!
ぴゅ~~ん・・・・
ぐさっ!!
あ~・・・
当たってしまいました・・・
矢は寝ているアメワカヒコを貫き、彼を殺してしまったのでした。
アメワカヒコの葬儀
アメワカヒコを殺された妻のシタデルヒメ、もう泣きまくりです・・・
その泣き声は風に乗って、天界の義両親のもとまで届いたほど・・・
アメワカヒコの死を知った父 天津国玉神(アマツクニタマ)は、
妻子をつれて地上界に降りてきて、やっぱり泣いて悲しみました。
そしてすぐに死体を安置する喪屋(もや)を造ると、まるまる八日間も歌舞いをして弔ったのです。
その時です!
誰かやって来ます・・・
それは・・・
父「・・・あれ!? アメワカヒコ?? 生きとったんかい!」
母「うわ~ん! わかちゃ~ん!!」
そこにいたのはアメワカヒコ!?
みんな泣いて喜んで、彼の足に取りすがります。
ところが・・・
??「ちげ~よ! 俺はアメワカヒコじゃねえよ!!」
そう、彼の名は 阿遅志貴高日子根神(アジシキタカヒコネ)。
アメワカヒコにそっくりですが、シタデルヒメの兄なんです。
アジ「親友だから葬式に来たのに、死人と間違えんなよ!!」
ザシュッ!
どっこ~ん!!!
怒ったアジシキタカヒコネは、十束(とつか)の剣で喪屋を切り伏せ、足で蹴り飛ばしてしまいました。
この喪屋はなんと美濃の国まで飛んでいき、喪山という山になったそうです。
ちなみに、その剣の名は「大量(おおはかり)」。
またの名を「神度剣(かむどのつるぎ)」と言います。
シタデルヒメは怒って飛び去った兄を見て、なんでか歌を詠みます。
それはこんな内容でした・・・
天女が首にかけてる玉の首飾りってさあ。
玉の穴がすっごく光り輝いてるのね。
そんな感じで谷ふたつ超えて輝いている神は、
アジタカヒコネ(兄)なの!
なぜか兄を賛美・・・
葬式には合わない感じの歌ですね・・・
これでアメワカヒコのお話はおしまい。
この後いよいよ最後の使者が登場します!
つづく
次のお話:神社の神様 国譲り神話③ 最後の使者タケミカヅチ登場!