大気津比売神(オオゲツヒメ)は、古事記のいろんな章に名前がちらほらと出てきます。
でも、ちょっと不思議な女神様なんです。
登場するシーンによって、島の神様だったり、食物の神様だったり・・・
今回は、そんな大気津比売神についてのお話です!
大気津比売神の神話
大気津比売神についての神話は多くありません。
というか、古事記ではスサノオと絡む神話以外は、名前が出てくる程度です。
スサノオとの神話はこんな感じ・・・
天の岩戸事件のあと、天界を追放されてしまった須佐之男命(スサノオ)。
食べものを求めて 大気津比売神(オオゲツヒメ)の所へやって来ました。
スサノオ「なんか食べ物をくれ・・・」
オオオゲツヒメ「いいわよ、ちょっと待っててね♡」
オオゲツヒメは食物の神様です。
きっと美味しいものをご馳走してくれるに違いありません。
いそいそと調理場に入っていくオオゲツヒメ。
すると・・・
おえ~~!
ゲロゲロゲロ~!
なんかすごい音が響いてきました。
スサノオ「なにこの音・・・!?」
嫌な予感しかしないスサノオ、調理場をこっそり覗いてみると・・・
なんとオオゲツヒメが、鼻や口から食べ物を吐き出していたんです。
しかも、お尻の穴からも食べ物をドバドバ出してます・・・
美味しそうだけども、スカトロな食べ物で料理をつくるオオゲツヒメ。
スサノオ「こんな汚いの食えるか~!」
怒ったスサノオは、オオゲツヒメを殺してしまいました。
すると、殺した女神様からいろいろなものが生まれたんです。
オオゲツヒメの死体から生まれた物
- 頭から蚕
- 二つの目から稲の種
- 二つの耳から粟
- 鼻から小豆
- 陰部から麦
- 尻から大豆
天界の重鎮 神産巣日神(カムムスビ)がこれらを取って種としたのでした。
大気津比売神は国土の神としても登場する?
実は、イザナギとイザナミの「国生みの神話」にも、 大宜都比売神(オオゲツヒメ)という神様が登場しています。
漢字こそちがいますが、大宜都比売神と大気津比売神は同じ神様だと考えられているんです。
「国生みの神話」は、オオゲツヒメがスサノオに殺された事件より前のお話です。
それはこんなお話・・・
国生みを始めたイザナギとイザナミ。
最初に淡路島を生み、次に四国(伊予之二名島 イヨノフタナノシマ)を生みます。
この島、ひとつの体に顔が4つもあり、それぞれ名前まで持っていました。
愛比売(エヒメ)
伊予の国(愛媛県)
飯依比古(イヒヨリヒコ)
讃岐の国 (香川県)
大宜都比売(オオゲツヒメ)
阿波の国 (徳島県)
建依別(タケヨリワケ)
土佐の国 (高知県)
オオゲツヒメは徳島県の顔だったんですねえ。
でも・・・
あれ・・・?
じゃあ、スサノオは自分の姉を殺したってこと?
だって、スサノオも大宜都比売神も、イザナギとイザナミが生んだ子ですから・・・
このへん、不思議ですねえ・・・
オオゲツヒメと同一視される神様
大気津比売神(オオゲツヒメ)は、いくつかの神様とも同一視されています。
豊受大神(トヨウケノオオカミ)
豊受大神(トヨウケノオオカミ)は食物の神様。
伊勢神宮の外宮にお祀りされている有名な神様です。
アマテラスの食事を司っています。
この豊受大神、実はイザナギとイザナミのお孫さんにあたります。
あれ・・・?
ということは・・・
スサノオは自分の姪っ子を殺したってこと!?
宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)
宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は穀物の神様。
あの有名な稲荷神社の女神様です。
この神様も、大気津比売神と同一視されています。
ちなみに、宇迦之御魂神と豊受大神も同一視されてるんですよ。
そして実は、宇迦之御魂神はスサノオの娘なんです!
あれ・・・
ということは・・・
スサノオは自分の娘を殺したってこと!?
姉だったり、姪っ子だったり、愛娘だったり・・・
もうハチャメチャですね(-_-;)
まあ、神話ってこんなもんです。
それに、あまり突っ込むとこう言われそうです。
「細けえことはいいんだよ!」
大宜都比売神のご利益と神社
◆大気津比売神の別名
- 大宜都比売神
- 保食神(うけもちのかみ)
◆大気津比売神のご利益
- 農業守護
- 五穀豊穣
- 開運招福
- 家内安全
- 災難厄除け
- 縁むすび
- 子宝
- 安産
- 出世
◆お祀りしている神社
一宮神社
徳島県徳島市一宮町西丁237
上一宮大粟神社
徳島県名西郡神山町神領字西上角330
千葉神社(境内社 稲荷神社)
千葉県千葉市中央区院内1-16-1
小内八幡神社
長野県中野市安源寺字石原572
その他全国でお祀りされています。