桃の神様 意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)。
万物に神が宿ると言っても、実際に神話に桃の神様が出てくると、
とても珍しいなと思っちゃいます。
さて、桃の神様 意富加牟豆美命(おおかむづみ)とは
一体どんな神様なんでしょうか?
意富加牟豆美命(おおかむづみ)の神話を中心にして、
お祀りしている神社やご利益などをご紹介します!
意富加牟豆美命(おおかむづみはイザナギを助けた
意富加牟豆美命(おおかむづみ)が登場するのは、イザナギとイザナミの神生みの神話。
黄泉平坂(よもつひらさか)でのお話です。
神話はこんな感じ…(古事記より)
偉い神様の命で地上界に降り立ち、日本の国土を生み、そして神々を生んできたイザナギとイザナミ。
ふたりはとっても幸せに過ごしていたのですが、ある時イザナミを不幸が襲います。
火の神 火之迦具土神(ヒノカグツチ)を生んだ時、イザナミは大火傷を負って死んでしまったんです・・・
イザナミを葬ったあとも、イザナギの悲しみは全く癒えません・・・
そして思い余ったイザナギは、死んだイザナミに逢いに黄泉の国へと向かいました。
でも、そこにいたのは・・・
ゾンビのような姿に変わり果てた恐ろしいイザナミ!
イザナギ「うぎゃ~~!!」
逢いたかった気持ちはどこへやら、イザナギはすっ飛ぶように逃げ出しました!
醜い姿を見られたイザナミは怒り狂い、イザナギを捕まえようと追っ手を放ちます!
追ってきたのは ヨモツシコメ(予母都志許売)!
黄泉の国に住む醜く恐ろしい女です。
必死に逃げるイザナギ!
でも、ふたりの距離はどんどん近づき、もう追いつかれそうです!
その時、イザナギは髪紐や櫛をシコメのほうへ投げ捨てました。
すると、ブドウや筍が現れました!
ヨモツシコメはそれらを食べることに気をとられ、イザナギは何とか逃げ延びたのでした。
イザナミの窮地を救った桃
なんとかヨモツシコメから逃げ切ったイザナギ。
イザナギ「ふう…って、うわ~!!」
すかさず新たな追撃者が現れたのです!!
なんとイザナミは、体にまとっていた雷神率いる、その数1500の黄泉軍団を送り込んだのでした!
イザナギは十束剣(とつかのつるぎ)を抜くと、後ろ手に振り回しながら逃げます。
後ろ手に剣を振るうのは、呪いの行為のひとつです。
逃げて逃げて逃げて・・・
ようやく黄泉平坂(よもつひらさか)までたどり着いたイザナギ。
でも、黄泉軍団はもうそこまで追(せま)っています!
イザナギ「あ~もう!しつこいな!!」
辺りを見回すと、坂の下に桃の木があります。
イザナギはその木から桃を3個もぎ取ると、黄泉の軍団に向けて投げつけました!
ぐぎゃ~~!!
なんということでしょう!
桃の実に退魔の力があったのか、黄泉軍団は逃げかえっていきました。
イザナギは桃の実にとっても感謝しました。
イザナギ「お前が僕を助けたように、葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)の人間が苦しみ困っていたら、助けてあげなさい。」
そう言って、桃に 意富加牟豆実命(オオカムズミノミコト)という名を授けました。
おしまい
はい、意富加牟豆美命(おおかむづみ)の神話はこれでおしまいです。
イザナギを助けたことで、桃は神様に昇格しました!
この後もイザナミの恐ろしい追撃は続くのですが、くわしい話はこちらで!
意富加牟豆美命(おおかむづみ)の退魔の力
という訳で、イザナギを助けて神様になった意富加牟豆美命(おおかむづみ)。
名前の意味は「大いなる神の霊威」、または「大いなる神の実」。
「ミ」には霊威・霊力という意味を表すこともあり、これをどう解釈するかで違ってくるそうですよ。
でも、なぜ桃に黄泉軍団を退ける力があったのでしょうか?
実は、昔の中国では「桃には退魔の力がある」と信じられていたんだそう。
それが日本にも伝わって、この神話の元になったと考えられます。
そんなおおかむづみ、桃太郎の昔話の元にもなっているんだとか。
意富加牟豆美命(おおかむづみ)の神格やご利益
おおかむづみの神格
- 退魔の神
- 邪気払いの神
おおかむづみのご利益(神徳)
- 災難除け
- 厄除け、厄払い
- 病気平癒
- 延命長寿
意富加牟豆美命(おおかむづみ)をお祀りする神社
- 多伎藝神社(島根県出雲市)
- 賀茂神社 (徳島県阿波市)
- 桃島神社(兵庫県豊岡市)
- 赤國神社(京都府綾部市)
- 桃太郎神社(愛知県犬山市)
- 新治神社(富山県黒部市)
- 行田八幡神社 (埼玉県行田市)
- 熊野神社 (東京都多摩市)