前回、沼河比売(ヌナカワヒメ)に求婚し、めでたく結ばれたオオクニヌシ。
これからさらに色男ぶりを発揮していくのですが・・・
そこに立ちふさがったのは、正妻 須勢理毘売命(スセリビメ)。
オオクニヌシとスセリビメの恋模様が、再び繰り広げられます!
前回のお話:神社の神様 大国主の国作り⑦ イケメン大国主の恋模様
ふたりの物語は恋歌で進む
このオオクニヌシとスセリビメのお話も、ふたりの詠んだ歌を中心に進んでいきます。
ただ、その歌が長い・・・
そして難解・・・
なので、解りやすいように、適当に意訳していきますね。
大国主からスセリビメへの恋歌
オオクニヌシの色恋沙汰の多さに、とても悲しんでいるスセリビメ。
ある日のことでした。
オオクニヌシが倭国(ヤマトノクニ)へ向かおうとしていたら、
スセリビメが嫉妬し、あまりに悲しんでいます…
そんなスセリビメを見て、オオクニヌシは馬に乗ろうと鞍に手をかけ
片足を鐙(あぶみ)に踏みいれた姿のままで歌を詠いました。
こんな黒い衣装を着こんでさ。
水鳥が胸元を見るようにして服を見たり
鳥が羽ばたくように腕を上げ下げしてみても
なんか似合わないんだよねえ。
でもさ、山の畑の茜(アカネ)で染めた服を着てみたら
これはとっても似合ってるんだよ。
愛しい僕の奥さん
僕が鳥の群れのように、皆で出かけて行ったらさ
君は「泣かない」って強がっても
山に立つ一本のススキみたいに
うなだれて泣いてしまうんだろうね・・・
その君の嘆きはさ
きっと朝の雨が霧になって
立ち込めるような感じなんだろうね。
愛しい妻の君に、この歌を贈るよ。
馬に乗ろうとした姿のまま、こんなに長い歌を詠んだんですねえ・・・
スセリビメの返歌
オオクニヌシの歌を聴いたスセリビメ。
大きな杯(さかずき)を手に取って、オオクニヌシに捧げながら、こんな歌を詠いました。
八千矛(ヤチホコ)の神、私のオオクニヌシ様
あなたは男なんだから
行く先々で若い妻を持つんでしょうね・・・
でも、私は女だから、あなた以外に男なんていないの
あなたの他に夫なんていないのよ
綾織(アヤオリ)の幕がふわふわ垂れている下
やわらかなカラムシの寝具の下
タクの寝具がざわざわと鳴る下で
私の白くやわらかい胸や
白い腕に触れたり撫でたり
私の美しい手枕でゆっくりと休んでね
さあ、このお酒を飲んでください
カラムシ
麻の一種で、布や衣料の原料になっていました。
タク
桑科の低木。昔はこの木の繊維で布を織っていました。
こうして二人は杯を交わし、夫婦の愛を固く約束しました。
ふたりはお互いの首に手をまわしあって
いまに至るまで鎮座なさっています。
めでたしめでたし。
でもまあ、オオクニヌシさん
これからも、たくさんの女に手を出すんですけどね。
これも国の主の宿命ですかね・・・
つづく
次回のお話:神社の神様 大国主の国作り⑨ 大国主の「女性遍歴」と子どもたち
大国主の神話
★神社の神様 大国主の国作り② 八十神の陰謀…生き抜けオオナムチ!
★神社の神様 大国主の国作り③ 八十神の陰謀Ⅱ オオナムチは2度死ぬ…
★神社の神様 大国主の国作り④ スサノオとの出逢いと新たな試練
★神社の神様 大国主の国作り⑤ スサノオの火攻め!危うしオオナムチ…
★神社の神様 大国主の国作り⑥ 最後の試練とオオナムチの駆け落ち
★神社の神様 大国主の国作り⑨ 大国主の「女性遍歴」と子どもたち
★神社の神様 大国主の国作り⑪ 大国主とスクナビコナの国作り
★神社の神様 大国主の国作り⑫ 国作り完了 葦原の中つ国ここに完成!
大国主を祀る神社
★白子神社(千葉県)大国主大神=玄武大帝として祀る神気が満ちた場所