日本の神話の神様 少彦名命(スクナヒコナ)。
少名比古那神(スクナビコナノカミ)とも呼ばれます。
一寸法師の原型とも言われる小さな神様ですが
実は日本の国作りをした偉大な神様でもあります。
そんな少彦名命(スクナヒコナ)とはどんな神様なんでしょうか?
その面白い神話を中心に、お祀りされてる神社、ご利益などをご紹介します!
少彦名(スクナヒコナ)は海からやって来た
少彦名(スクナヒコナ)が最初に神話に登場するのは、大国主の国作りのお話。
神話はこんな感じ…(古事記より)
これは、出雲の偉大な神様 大国主大神(オオクニヌシ)が、国作りをしている真っ最中のお話。
ある日の海辺でのこと。
大国主が海を眺めていると、沖から何か小さいものがやって来ました。
大国主「なんだあれ?」
良~く見ると、それは小さな小さな船でした。
おまけにその上には、これまた小さな神様が乗ってます・・・
大国主「おまえ誰?」
小さな神「・・・」
大国主「・・・」
会話になりません・・・
その時、一匹のカエルがこう言いました。
カエル「久延比古(クエビコ)が知ってるケロ!」
クエビコとは、山の田んぼにいるカカシで田の神様。
とっても物知りな神様なんです。
大国主がクエビコに訊いてみると・・・
クエビコ「それは少彦名命(スクナヒコナ)ですな。」
少彦名命(スクナヒコナ)は神産巣日神(カムムスビ)の子だった
クエビコ「それは神産巣日神(カムムスビ)の子の、少彦名ですな。」
神産巣日神(カムムスビ)とは、この世界に3番目に生まれてきた偉い神様。
以前、大国主が死んでしまった時に助けてくれています。
でも、カムムスビは天界にいるはずなのに、なぜ息子がここに?
大国主は、少彦名命のことをカムムスビに報告してみました。
カムムスビ「そりゃあ私の子だ!」
カムムスビ「以前、指の間からこぼれ落ちたんだよねえ。」
カムムスビ「大国主さあ。せっかくだから、少彦名と一緒に国作りしなさいよ。」
という訳で、少彦名(スクナヒコナ)は大国主の国作りを手伝うことに!
この部分の詳しい神話はこちら!
少彦名命(スクナヒコナ)と大国主は国を繁栄させた
大国主と少彦名命は、力を合わせて国作りに励みました。
でも、どんな治政を行ったのか、古事記にはほとんど書いてありません。
なので、他の「神話の書」も見てみると、かなりの善政をしいていたようです!
少彦名命と大国主の偉業
- 人の病気の治療法を定めた
(さすが医療の神様!) - 家畜の病気の治療法を定めた
(さすが医薬の神様!) - 獣害・獣害対策を実施した。
(百姓大喜び!) - ふたりで天下を巡察した
(素晴らしい!)
おかげで出雲の国は、高天原の天照大御神(アマテラス)が妬んじゃうほど大繁栄!
これが元で、次の「国譲り」の神話へと続いて行くんです。
この部分の詳しい神話はこちら
日本各地の風土記にも登場する少彦名と大国主
少彦名命と大国主の逸話は、日本各地の風土記にもあるようです。
たとえば・・・
伊予国風土記
国作りのために全国を巡っていた、大国主と少彦名命。
ちょうど伊予の国を旅していた時のことです。
少彦名命が長旅の疲れから、病気になって倒れてしまいました・・・
スクナヒコナ「おれ、もうダメ・・・」
大国主「大丈夫か!? スクナヒコナ」
大国主は、あわてて倒れた少彦名命を手に乗せると、辺りをキョロキョロ見渡します。
大国主「え~と、治療、治療・・・」
大国主「おっ! いいもの見つけた!」
大国主が見つけたのは温泉でした。
大国主は手のひらの上の少彦名命を、その温泉に浸からせます。
するとびっくり!
少彦名命はたちまち元気になりましたとさ。
これが、あの道後温泉の始まりです。
そのほかの風土記
出雲国風土記
オオナムチ(大国主)と少彦名命は天下を巡った・・・
播磨国風土記
「オオナムチと少彦名命は、うんちを我慢するか話し合った・・・」
尾張国風土記
「尾張の登々川(ととがわ)は、二人の足跡に由来する・・・」
少彦名命と大国主は、日本中を巡察したのかもしれませんね。
少彦名命(スクナヒコナ)は去っていった・・・
ある日のこと。
少彦名命が出雲を去ってしまいました・・・
古事記にはこうあります・・・
大国主と少彦名命は、相並んでこの国を作り固めました。
その後、少彦名命は常世国(とこよのくに)へと渡りました。
おしまい
これだけです・・・
古事記って、「神話のあらすじ」みたいな書き方が多いですよね・・・
これで、少彦名命の神話はおしまいです。
以降、古事記に少彦名命は登場しません。
少彦名命(スクナヒコナ)の神格・ご利益
少彦名命の神格
- 医薬の神
- 酒造の神
- 穀物神
- 温泉の神
少彦名命のご利益(神徳)
- 病難排除
- 国土安寧
- 五穀豊穣
- 諸産業隆昌
- 酒造繁栄
- 航海守護
- 漁業守護
- 縁結び
- 安産・育児
少彦名命(スクナヒコナ)をお祀りする神社
少彦名命をお祀りする主な神社です。
- 湯神社(愛媛県松山市)
- 少彦名神社【神農さん】(大阪市)
- 大神神社(奈良県桜井市)
- 五條天神社(京都市下京区)
- 御嶽神社(長野県木曽郡)
- 酒列磯前神社(茨城県那珂凑市)
- 大洗磯前神社(茨城県東茨城郡)
- 札幌神社(札幌市中央区)