須佐之男命(すさのおのみこと)は、イザナギとイザナミから生まれた神様。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)とも書きます。
スサノオと聞けば、日本神話の英雄ってイメージですが、実はスサノオにはいろんな側面があるんです。
泣き虫だったり、乱暴者だったり、英雄だったり・・・
いったいスサノオとはどんな神様なのか?
その神話を中心に、神社やご利益などもご紹介します!
スサノオは天照大御神の弟
須佐之男命(スサノオ)は、伊邪那岐(イザナギ)が河で体を洗っているとき(禊ぎ)に生まれました。
イザナギは、「いや~、最後にとっても尊い神が生まれた~」と喜び、
アマテラスには天を、ツクヨミには夜の世界を、そしてスサノオには海原を統治するように言いました。
スサノオは「ママ大ちゅき♡」な泣き虫小僧
アマテラスと月読は、それぞれの世界で順調に統治していたのですが
スサノオはその場から動きもせず、わんわん泣いて駄々をこねています・・・
めちゃくちゃ泣いちゃいます・・・
泣きすぎて、頭髪もヒゲもボウボウになるくらい泣いてます・・・
おかげで世界は災厄の渦に・・・
困ったイザナギがなんでそんなに泣いてるのか聞いてみると、
スサノオ「母ちゃんに会いに行きたいよ~!!」
これを聞いたイザナギは大激怒!
なぜって、イザナギは先日、妻のイザナミと酷い別れをしていたから。
イザナギ「お前なんて追放だ~!!」
というわけで、スサノオは父に追放されたのでした。
須佐之男命(スサノオ)は乱暴者
追放されたスサノオは、イザナミ母ちゃんのいる死者の国に行こうと決心します。
その前に、天界のアマテラス姉ちゃんに別れの挨拶をしにいくのですが・・・
姉ちゃんは、スサノオが襲ってきたと誤解してテンヤワンヤ・・・
この時スサノオは、三柱の女神を生んじゃいます(宗像三女伸)。
いろいろあって誤解も解け、天界へ入ることを許されたスサノオ。
なぜか調子に乗り、イタズラや乱暴の限りをつくしちゃいます。
思いつめたアマテラス姉ちゃんが、引きこもり事件(天の岩戸)を起こしてしまって、もう散々でした・・・
そしてスサノオは、天界からも追放されたのでした・・・
スサノオはスカトロが苦手・・・
天界を追放されたスサノオは、食べ物を求めて食物神 大気津比売神(おおげつひめ)のところにやって来ました。
オオゲツヒメは、腹をすかせたスサノオに喜んで料理を作ってくれるのですが・・・
おげ~~~
ぶりぶりぶり~
なにやら調理場からすごい音が聞こえてきます・・・
怪しんだスサノオが覗いてみると・・・
なんとオオゲツヒメは、口やお尻の穴から食材をひり出して料理していたのでした!
スサノオ「そんなん食えるか~!」
怒ったスサノオは、オオゲツヒメを切り殺してしまいました。
参考:スサノオの活躍① 大気津比売神(オオゲツヒメ)のヤバい料理…
須佐之男命(スサノオ)は英雄
天界を追われたスサノオは放浪を続け、出雲にやって来ました。
そこで出会ったのが 櫛名田比売(クシナダヒメ)とその両親。
「もうすぐヤマタノオロチに食われてしまう。」と泣いていました。
スサノオは、クシナダヒメに自分の妻になることを条件に、ヤマタノオロチを退治すると約束します。
スサノオがとった戦法は「ヤシオリ作戦」。
これ、映画シン・ゴジラにも出てくる作戦名です!
ヤシオリ作戦とは、なんども醸造した強力な酒(ヤシオリの酒)をヤマタノオロチに飲ませ、酔っぱらって眠り込んだところを殺してしまおう! というもの。
これが成功して、スサノオはあっさりヤマタノオロチを退治してしまいました。
その後スサノオは出雲に宮殿を造り、クシナダヒメと共に暮らしたのでした。
参考:スサノオの活躍② 須佐之男と櫛名田比売(クシナダヒメ)
須佐之男命(スサノオ)は鬼の舅
時は移って、大国主大神(オオクニヌシ)の国作りの神話。
大国主がまだオオナムチと名乗っていた頃のお話です。
兄たちに2度も殺されて、また殺されそうになったオオナムチ(大国主)。
この危機から脱するため、死者の国に住むというスサノオを頼ってやって来ました。
ところが、そこで出逢ったスサノオの娘の須勢理毘売命(スセリビメ)と、会ってイキナリ結婚しちゃったからもう大変・・・
スサノオによる過酷な試練(嫌がらせ?)が始まったのでした。
スサノオに何度も殺されそうになる(?)オオナムチ。
スセリビメの助けでことごとく切り抜け、最後には駆け落ちしちゃいます。
てっきりスサノオの嫌がらせだと思っていたんですが・・・
ひ弱だったオオナムチは、この試練によって偉大な神へと成長していたのでした。
スサノオは出雲系の神様
スサノオにまつわる古事記の神話はこんな感じ。
出雲ではクシナダヒメを助けてヤマタノオロチを倒して宮殿を造り、
後の出雲の盟主となる大国主大神を助け、その義父となります。
つまり、スサノオは出雲系の神様なんですね。
須佐之男命(スサノオ)の神格とご利益
スサノオの名称は数多い
●古事記の神話では
- 須佐之男命(すさのおのみこと)
- 健速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
健速(たけはや)は勇猛さを表す漢字。
須佐(すさ)には「荒ぶる」という意味があるとされています。
●日本書紀では
- 素戔嗚尊(すさのおのみこと)
●祇園信仰では
- 祇園様
- 八坂様
●神仏習合では
- 牛頭天王と同一視
●熊野信仰で
- 證誠大権現(しょうせいだいごんげん)
- 熊野家都美御子大神(くまのけつみみこのおおかみ)
須佐之男命の神格
- 荒ぶる神
- 和歌・歌人の神
- 冥府の神
- 豊穣の神
須佐之男命のご利益(神徳)
- 子孫繁栄
- 病難除去
- 家内安全
- 商売繁盛
- 縁結び
- 学問上達
- 五穀豊穣
- 厄除け
- 水難除け
- 火難除け
須佐之男命をお祀りする主な神社
- 須佐神社(島根県出雲市)
- 八重垣神社(島根県松江市)
- 日御崎神社(島根県簸川郡)
- 須佐神社(島根県簸川郡)
- 素盞嗚神社(広島県福山市)
- 廣峯神社(兵庫県姫路市)
- 八坂神社(京都市東山区)
- 熊野本宮大社(和歌山県東牟婁郡)
- 八坂神社(東京都東村山市)
- 津島神社(愛知県津島市)
- 氷川神社(埼玉県さいたま市)
全国の八坂神社でもお祀りされています。
やはり古事記神話の謎は天皇礼賛だけではないいびつな構造をしているある種の正直さが心惹かれるのでしょう。
古事記神話の構造をザックリいうと高天原の2度の地上への介入がその構造の中心となっている。1度目はイザナギとイザナミがオノゴロ島を作り、国生み神生みを行い、次にイザナミのあとを継ぎスサノオが
根之堅洲国で帝王となる。第二の高天原の介入はアマテラスによる九州への天皇の始祖の派遣とそれに続く天皇を擁する日本の話でこれは今も続いている。
これらの2度の高天原の介入に挟まれた形で出雲神話がある。天皇の権威を高めるのに出雲があまり役に立たないのに古事記で大きく取り上げられている。その神話の構造の歪さに我々は心を惹かれる。
たとえば天皇も大国主も大刀(レガリア)の出どころはスサノオでありその権威の根源を知りたくなってしまう。そうなると島根県安来市あたりの観光をしてしまいたくなる。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
コメントの内容から、日本神話についての豊富な知識を感じます。
神話を編纂した当時の時代背景を想像すると、それだけでも興味深いですよね。
ヤマトと出雲の勢力がどんな歴史をたどってきたのかとか、
日本武尊が東征した先にはどんな勢力があったのかとか・・・
(常陸に大きな勢力があったという説と絡めてみたり・・・)
安来は日本遺産認定で有名ですね。昔からたたら製鉄の熱心な研究者や村下のかたがいる特殊鋼産業の代表的地域ですね。考古学的にも特異性があり、古墳時代以前に四隅突出墳丘墓が発達した地域でそれこそ須賀神社というところのちかくにあるかわらけ谷からは1400前の大刀が錆びずに美しい光沢をはなって出土したとかという奇跡的な話もありますね。
古代ドライブファン様
こんにちは。
コメントありがとうございます。
とても詳しいですね!
その知識に驚きました!
やはり出雲には、大和に勝るとも劣らない大きな国があったんでしょうね。
歴史のロマンを感じます・・・
富田八幡宮の摂社、須賀神社はそんなにもすごいものだったんか。
スサノオは大国主大神の義理の父親ですし、出雲の要ですよね!