前回、天の岩戸に籠ってしまった天照大御神(アマテラス)を、無事外に出すことに成功した八百万(やおよろず)の神様たち。
暗黒の闇に陥っていた高天原と葦原の中つ国も、ようやく光を取り戻しました。
「これで解決!」と言いたいところですが・・・
最後に大きな頭痛の種が残っていました。
騒動の原因となった、乱暴者の須佐之男命(スサノオ)のことです・・・
スサノオ、高天原を追放される・・・
スサノオの乱暴っぷりに、はたはた迷惑していた八百万の神様たち。
この乱暴者をどうしたものかと話し合いました。
そして、スサノオに罪を償わせるために、こんな罰を与えたんです。
- たくさんの物品を納めさせた。(罰金替わり)
- 自慢のひげを剃った。
- 手足の指の爪をはがした。
そして最後に、スサノオを高天原から追放してしまいました・・・
大気津比売神(オオゲツヒメ)のヤバい料理・・・
高天原を追放されたスサノオ。
食べ物を求めて、大気津比売神(オオゲツヒメ)のところにやって来ました。
オオゲツヒメは食物の神様で、イザナギとイザナミが生んだ娘です。
スサノオ「なんか食べ物をくれないか?」
オオゲツヒメ「いいいわよ。ちょっと待っててね!」
オオゲツヒメは気さくに返事をすると、厨房に入っていきました。
食物の神様ですから、きっと美味しい料理を作ってくれるんでしょう。
ところが・・・
おえ~~!
ゲロゲロゲロ~!!
ブリブリブリ~!!!
なんかすんごい音が聞こえてきます・・・
不安になったスサノオが、厨房をこっそり覗いてみると、
なんとオオゲツヒメ、食べ物を鼻や口、そして尻から出していたんです!
彼女はその食べ物を使って、いろいろと調理しています。
そしてスサノオの前に、美味しそうな料理が出てきたのですが・・・
スサノオ「そんな汚いもん喰えるか~!!」
怒ったスサノオは、オオゲツヒメを殺してしまいました。
大気津比売神(オオゲツヒメ)の死体から生まれたもの
スサノオに殺されてしまったオオゲツヒメ。
その死体から、なにやら生まれ出てきました!
オオゲツヒメの死体から生まれたもの
- 頭から 蚕
- 二つの目から 稲
- 二つの耳から 粟
- 鼻から 小豆
- 陰部から 麦
- お尻から 大豆
これらを、高天原の重鎮 神産巣日神(カムムスビ)が拾い集め、五穀の種としたのでした。
【コラム】不思議な女神 オオゲツヒメ
この大気津比売神(オオゲツヒメ)、ちょっと不思議な神様なんです。
というのも、彼女は「神生み」の神話でイザナギとイザナミが生んだ、
大宜都比売神(オオゲツヒメ)と同じ神様だと言われているんです。
でも、大宜都比売神のほうは島の神様で、四国の阿波の国 (徳島県)の顔です。
登場する神話によって島の神様だったり、食物の神様だったり・・・
なんか不思議ですねえ~・・・
まあ、「阿波 = 粟」だから同じ、という考えも有るようです。
もっと不思議なのは、大気津比売神がイザナギとイザナミの娘なら、彼女はスサノオの姉にあたる神様だってこと。
スサノオもイザナギの子神ですからね。
つまり、スサノオは自分の姉を殺したことになってしまいます・・・
そしてもっともっと不可解なことが・・・
解釈によっては、オオゲツヒメはスサノオの姪っ子だったり、娘だったりするんです。
じゃあ、スサノオは自分の愛娘を殺したってこと!?
この辺の詳しいことは、こちらに書いてます!
次回に続く
次の話:スサノオの活躍② 須佐之男と櫛名田比売(クシナダヒメ)