今回ご紹介するのは玉依姫(タマヨリヒメ)。
古事記では玉依毘売(タマヨリビメ)と書きます。
神話にはほとんど登場しないし、あまりメジャーな神様ではないのですが
実はけっこう重要なポジションにいる女神様なんです。
それに、玉依姫をお祀りする神社では、特に女性の参拝客が多いんだとか。
そんな玉依姫の神話やご利益、お祀りされている神社などを紹介します!
玉依姫(タマヨリヒメ)ってどんな神様?
玉依姫(タマヨリヒメ)は、海神 綿津見神(ワダツミ)の娘です。
古事記の神話には、ほとんど登場しない女神様ですが
姉の豊玉姫(トヨタマビメ)のラブストーリーのラストに、ちらっとだけ出てきます。
ほとんど名前だけですが・・・
それでも、とっても重要な神様なんですよ。
なぜって、あの神武天皇のお母さまだから。
それに、神話のいきさつから、女性の信仰のあつい神様です。
玉依姫(タマヨリヒメ)の神話
玉依姫が古事記の神話に登場するのは、姉豊玉姫(トヨタマヒメ)と夫の火遠理命(ホオリ)の別れのシーン。
その神話についてご紹介します。
ただ、出てくるのは名前だけって感じなので、そこだけ語るとすぐに終わるし、あまり面白くありません。
だから、玉依姫の神話を、前後関係から詳しく知りたいあなたは、こちらを読んでみてくださいね!
前置き
火遠理命(ホオリノミコト)は、あの天照大御神の孫 邇邇芸命(ニニギノミコト)の三男坊。
玉依姫の姉の豊玉姫と結婚し、海の宮殿で幸せに暮らしていました。
そんなホオリ、実は自分が兄の釣針を失くしたために、海の宮殿までやって来ていたのですが、
そのことをすっかり忘れていました。
そして3年ぶりに思い出し、義父 綿津見神(ワダツミ)に事情を打ち明けたんです。
話を聞いたワダツミ、すぐに釣針を見つけてホオリに渡すと
なぜか兄を屈服させる方法を教え、ホオリを地上界へ送り出しました。
ホオリは教えられた方法で兄を従属させ、地上界の覇権を手に入れたのでした。
さて、前置きはここまで。
ここからようやく話の本筋が始まります!
といっても、玉依姫はほとんど出てきませんけど・・・(‘ω’)
姉の子の育ての母となった玉依姫
そのころ、豊玉姫は海の宮殿にいたのですが・・・
ある日の海辺でのこと。
豊玉姫が地上にいるホオリを訪ねてきました。
豊玉姫「あなたの子を妊娠してるの♡」
あれ・・・?
ホデリを屈服させるために、3年かかっていたはずでは・・・
お腹の子と計算が合わないような・・・
豊玉姫「もう生まれそう・・・」
慌てて産屋を造ったのですが、屋根もふき終らないうちに出産が始まりました。
豊玉姫「絶対に見ないでね!」
そう言われると見たくなるのが人の性。
神様だって同じようです。
ホオリは豊玉姫の出産を覗いちゃいました。
すると・・・
ホオリ「ぎょえ~~!」
驚きのあまり叫び声をあげたホオリ。
彼が見たものは・・・
とてつもなく大きなサメの姿でした。
その巨大なサメが這い回り、身をくねらせているのです。
ホオリはその姿を見て恐怖し、一目散に逃げ出してしまいました・・・
本当の姿を見られたことにショックを受けた豊玉姫。
産んだ子をその場におき、海の世界に帰って行ってしまいました。
ちなみに、その時産んだ子の名前は
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命
(アマツヒコ ヒコ ナギサタケ ウカヤフキアエズ ノミコト)
名前の意味はこんな感じ。
「渚で(産屋に)鵜の羽の屋根もふきあえないうちに生まれた、たくましい天津神で、アマテラスの子孫」
出産を覗かれたことを恨みもした豊玉姫でしたが、
愛する夫と可愛いわが子を忘れることはできませんでした。
そこで、「せめて育ての母を」という想いで、
妹の玉依姫を地上界に送り、我が子を託したのでした。
はい、玉依姫が登場するのはこれだけです・・・
ほとんど名前だけしか出てきませんね。
そして大きな疑問がひとつ・・・
豊玉姫の本性が巨大なサメだったのなら、
妹の玉依姫の本当の姿ももしかしたら・・・?
甥っ子と結婚した玉依姫
古事記の神話には、もうすこしだけ玉依姫についての記述があります。
ほんとに少しだけですが、何気にこれが重要なことなんです。
そしてウガヤフキアエズが、玉依姫を妻として産んだ子の名前は
五瀬命
(イツセノミコト)
稲氷命
(イナヒノミコト)
母の国である海原に行く
御毛沼命
(ミケヌノミコト)
海を越えて常世の国に渡る
そして最後に産んだのが
若御毛沼命
(ワカミケヌノミコト)
別名:
豊御毛沼命
(トヨミケヌノミコト)
別名:
神倭伊波礼毘古命
(カムヤマトイワレビコノミコト)
大人になったウガヤフキアエズは、なぜか育ての母の玉依姫を妻にしちゃったんですねえ。
そのいきさつは、古事記には全く語られていません・・・
逆に言うと、玉依姫は自分の甥っ子と結婚して、子を産んだわけです・・・
私たち現代人の感覚では「あちゃあ~…」となりますが、
まあ、神話ではよくあることです・・・
それより重要なのは、玉依姫が産んだ子供のこと!
末っ子の 若御毛沼命(ワカミケヌノミコト)は、将来 神武天皇になるんです!
玉依姫は天皇家のルーツの一柱となる、とっても重要な神様だったんです。
玉依姫のご神格とご利益
玉依姫のご神格
- 海神
- 水の神
- 聖母神
玉依姫と関係の強い神様
綿津見神(わだつみ)
鵜葺草葺不合命
(うがやふきあえず)
玉依姫のご利益(ご神徳)
- 子授け
- 安産
- 子育て
- 縁結び
- 海上安全
- 農業
- 漁業
- 殖産興業
- 商売繁盛
- 開運・方除け
- 悪病
- 災難除け
頂けるご利益はいろいろありますが、特に女性からの信仰があついようです。
千葉県の玉前(たまさき)神社の御由緒によると・・・
鵜茅葺不合命の旭日の働きである清新・発祥・開運・再生などの物事の新しく始まる事象が玉依姫命によって守護されるといい、
人の精神にかかわること、縁結び、また子授け・出産・養育・月の物など神秘的な女性の心身の作用は、月のお働きをされる玉依姫命ご自身のお導きによるものと言われ、
古くは源頼朝婦人政子が懐妊の際、安産の祈願をしたことが広く知られています。
また縁結びは男女の縁ということだけではなく人と人の縁を結ぶとして商売や事業に関わる祈願をされる方が多いようです。
また玉前神社には方除けのご祈願・吉方参りの参拝者が多く訪れます。ご祭神のご神徳と共に日本の東の端に位置する神社としての信仰があります。
玉前神社をお祀りする神社
玉前神社が御祭神の主な神社です。
- 宮崎神宮(宮崎市)
- 筥崎宮(福岡市)
- 宇美八幡宮(福岡県)
- 玉井宮(岡山市門田)
- 賀茂御祖神社(京都市)
- 吉野水分神社(奈良県)
- 知立神社(愛知県知立市)
- 玉前神社(千葉県長生郡)
- 青海神社(新潟県加茂市)
このなかでも、千葉県の玉前神社がとってもお勧めです!
レイラインの起点にある神社としても有名なパワースポットで
鈍感な私でも、手にビリビリとパワーを感じました。
玉依姫と関わりある神様
綿津見神(わだつみ)