日本神話の神様 宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)。
この神様を検索してここにたどり着いたあなたは、かなりの神話通です。
だって、ほとんどの人はこんな難しい名前の神様なんて、聞いたことすらないですから・・・
宇摩志阿斯訶備比古遅神とは、いったいどんな神様なんでしょうか!?
まずは神話からご紹介します!
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神話
宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじ)が登場するのは、
神話の冒頭の天地創生のお話です。
神話はこんな感じ・・・(古事記より)
最初、この宇宙は形さえ定まらず、混とんとしていました。
その宇宙に天地のようなものが現れ始めたとき・・・
高天原に最初の神が成りました。
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)です。
そしてすぐに姿を隠してしまいました。
そして、次に成った神様が 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)。
その次に成ったのが 神産巣日神(かむむすびのかみ)。
どちらも現れたと思ったら、すぐに姿を隠してしまいました。
このころの大地はまだ固まっておらず、水に浮く油のよう・・・
宇宙を海のクラゲのように漂っていました。
そこに、まるで葦(アシ)の芽のように勢いよく成長するものから生まれた神がありました。
それが宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)。
そして次に生まれたのが、天之常立神(あめのとこたちのかみ)です。
この二柱の神様は、性別がなくひとりで生まれてきた独神で、
すぐに姿を隠してしまいました。
おしまい
はい、おしまいです。
この後、宇摩志阿斯訶備比古遅神は神話に出てきません。
古事記では、造化三神(ぞうかのさんしん)の後、4番目に生まれてきた神様。
日本書紀では、最初に生まれてきた神、または2番目に生まれてきた神とされています。
最初の天之御中主神(あめのみなかぬし)から天之常立神(あめのとこたち)までの五柱を、別天津神(ことあまつかみ)と呼びます。
まあ、超特別な天津神って感じの意味ですね。
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宇摩志阿斯訶備比古遅神ってどんな神様?
そもそも、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじ)ってどんな神様なんでしょう?
その名前、宇摩志阿斯訶備比古遅神の意味から探ってみます。
宇摩志(うまし)
これはほめ言葉で「素晴らしい」って感じの意味合い。
「美味し!」なんて現代でも使う人いますよね(^^)
阿斯訶備(あしかび)
=葦芽(あしかび):葦の芽。葦が芽吹く様子を表すとも。
葦(あし)は現代では葦(よし)と呼びます。
「悪し」だと縁起が悪いから、「良し」に変えたんでしょうね。
比古(ひこ)
男性をあらわす言葉
遅(じ・ぢ)
「比古遅(ひこじ)」の3文字で男性を表すという説や、「遅(ぢ=地)」で地や泥を表すという説があります。
つまり、宇摩志阿斯訶備比古遅神とは、
混沌(泥)から勢いよく成長する葦の芽のような素晴らしい男神
って感じの神様ですね。
あれ・・・?
性別の無い独神なのに、名前は「比古」なんですね・・・
古代の日本人にとって、葦(あし、よし)はとっても身近でありがたい植物でした。
葦が生い茂るところは湿地です。
栄養が豊富なので、稲作にも適した豊かな土地だと思われていたようです。
なんせ、日本のことを「葦原の中つ国」って呼んだくらいですからね。
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神格・ご利益
宇摩志阿斯訶備比古遅神の別称
- 可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこじのみこと)
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神格
- 生命力を神格化した神
宇摩志阿斯訶備比古遅神のご利益(ご神徳)
- 農業守護
- 五穀豊穣
- 開運招福
- 健脚
- 交通安全
- 足の病の治癒
宇摩志阿斯訶備比古遅神をお祀りする神社
- 高見神社(福岡県北九州市)
- 浮島神社(愛媛県東温市)
- 出雲大社(島根県出雲市)
- 物部神社( 島根県大田市)
- 蟻通神社(大阪府泉佐野市)
- 石切剱箭神社(大阪府東大阪市)
- 出雲路幸神社(京都府京都市)
- 胸形神社(栃木県鹿沼市)