日本の神話の神様 八上比売(ヤガミヒメ)とは、どんな神様なんでしょう。
ヤガミヒメの登場する神話を中心に、お祀りしている神社やご利益などもご紹介します!
八上比売(ヤガミヒメ)は超美人(神)さん
八上比売(ヤガミヒメ)とは、因幡の国に住む美しい女神様です。
古事記では「国作り」の神話に登場し、出雲の偉大な神 大国主の妻になります。
八上比売(ヤガミヒメ)の神話
八上比売(ヤガミヒメ)への求婚
出雲の国に住むオオナムチ(後の大国主大神)。
あの須佐之男命(スサノオ)の6代目の子孫です。
オオナムチには八十神(ヤソガミ)と呼ばれるたくさんの兄たちがいました。
ある日のこと。
八十神ブラザーズは、因幡の国の美しい女神、八上比売(ヤガミヒメ)に求婚するために旅に出ました。
オオナムチは旅の行列の最後尾を、遅れて歩いています。
その背中には大きな荷袋を抱えていました。
まるで従者のようにこき使われていたんです・・・
途中で因幡の白兎を八十神がいじめたり、それをオオナムチが助けたり・・・
そんなこんなで、因幡の国に到着した八十神兄さんたち。
さっそく八上比売(ヤガミヒメ)に求婚しちゃいます!
ところが・・・
ヤガミヒメ「私はオオナムチと結婚するの♡」
八十神ブラザーズ玉砕!!
そして、この一件がオオナムチを危機に陥れます・・・
八十神兄さんたちは、嫉妬のあまりオオナムチを殺そうとしたからです。
結局2度も殺され、その都度生き返って来たオオナムチ。
3度目の危機に遭うと、死者の国のスサノオのところへ逃げ延びました。
そしてなんと、スサノオの娘の須勢理毘売命(スセリビメ)と結婚しちゃうんです。
そしてスサノオの厳しい試練により、オオナムチはパワーアップして帰ってくるのでした。
連れて来られた八上比売(ヤガミヒメ)
スサノオの娘 スセリビメと結婚し、死者の国から地上界に戻ってきたオオナムチ。
大国主は八十神兄さんたちをことごとく追い詰めて打ち倒しました。
いよいよ、大国主の国作りが始まります。
そういえば・・・
八上比売(ヤガミヒメ)のことは一体どうなったんでしょう?
実は大国主、先の約束通り八上比売(ヤガミヒメ)とも結婚しちゃいました。
だって大国主には、須勢理毘売命(すせりびめ)という正妻がいるんですから・・・
そして、この予感は当たることになります・・・
八上比売(ヤガミヒメ)、実家に帰る
出雲の宮殿にやって来た八上比売(ヤガミヒメ)。
でも、大国主と幸せな日々を送ることは叶わず・・・
産んだ子を木の俣(また)に置いて実家に帰ってしまいました・・・
その訳とは・・・
古事記にはこう書かれています。
八上比賣者 雖率來 畏其嫡妻須世理毘賣而 其所生子者刺挾木俣而 返故
八上比売(ヤガミヒメ)を連れてきたが、正妻のスセリビメを「畏」、産んだ子を木の俣に挟んで帰ったので・・・
これだけです・・・
一体なにがあったんでしょうか?
実はこれ、「畏(かしこまる、おそれる)」の字の解釈次第で、全然違ったお話になってしまうんですよ。
1)八上比売(ヤガミヒメ)はスセリビメを恐れて逃げ帰った
ひとつめは、畏を「おそれる」と解釈した場合。
訳はこうなります。
ヤガミヒメを連れてきたが、正妻のスセリビメを恐れて、産んだ子を木の俣に挟んで帰ったので・・・
スセリビメの名前には、「荒ぶる女神」という意味もあります。
たぶん、かなり気の強い女神様なんでしょう・・・
後のお話では、スセリビメが強く嫉妬している場面も出てきます。
八上比売(ヤガミヒメ)に対して、いろいろきつく当たったり、意地悪したりしたのかもしれませんね・・・
2)八上比売(ヤガミヒメ)はスセリビメを敬って身を引いた
ふたつめは、畏を「かしこまる」と解釈した場合。
訳はこうなります。
ヤガミヒメを連れてきたが、正妻のスセリビメをおそれ敬って、産んだ子を木の俣に挟んで帰ったので・・・
つまり、正妻のスセリビメの立場を尊重し、身を慎んで引いたってわけです。
でも、それなら我が子をこっそり置いて、まるで逃げるようにして帰らなくてもいいのに。
なんて思うのですが・・・
大国主に引き留められるのを恐れたんでしょうか・・・
ちなみに、木の俣に置いて行った子どもを「木俣神(きのまたのかみ)」、または「御井神(みいのかみ)」といい、安産の神様として信仰されています。
この神話の詳しいお話はこちら!
八上比売(ヤガミヒメ)のお祭りされている神社やご利益
八上比売(ヤガミヒメ)のご利益(神徳)
- 安産
- 子宝
- 病気平癒
八上比売(ヤガミヒメ)をお祀りする神社
- 島御子神社(長崎県対馬市)
- 八上姫神社(島根県出雲市)
- 売沼神社(鳥取県鳥取市)
- 都波只知上神社(鳥取県鳥取市)
木の股は異界への入り口を意味しているので、死産か赤子の内に亡くなり埋葬したと解釈されるらしいですね
木俣神が出雲の御井神社に祀られているのも、死産か産まれてすぐに亡くなった可能性を高めてます
御井とは井戸を表し、産湯に使われた事を由来するそうです
古代の死産率や赤子の死亡率を考えれば、身重の女性に旅をさせればこうなることは分かってたと思いますが、スセリヒメが怖かったのか早く帰らされたのか
こんばんは!
コメントありがとうございます。
そうなんですね〜!
八上姫は死産した可能性があるんですね…
古事記を読むだけでは得られない知識ですね。
とても勉強になりました!
ありがとうございます。