山幸彦① 釣針を失くしたホオリ(火遠理命)

【神社の神様の神話】山幸彦と海幸彦①
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前回、たった1回の交わりで妊娠した木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)。

そして、それを信じられず

「ほかの男の子だろ!?」

と、男として最低なことを言ってしまったニニギ。

いろいろありましたが、無事三柱の子たちが生まれてきました。

今回からは、その子供たちのお話です。

前の話:木花咲耶姫② 「 本当に俺の子なの?」と疑う邇邇芸命(ニニギ)

山幸彦と海幸彦

炎の中、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)から無事に生まれてきた、邇邇芸命(ニニギ)の3人の息子たち。

いまでは彼らもすっかり成長して、よい若者になりました。

長男の火照命(ホデリ)は海幸彦(ウミサチヒコ)として、海の獲物を獲り、

三男の火遠理命(ホオリ)は山幸彦(ヤマサチヒコ)として、山の獣を狩っていました。

つまり、漁師と猟師ってことですね。

 

ちなみに、次男の火須勢理命(ホスセリ)がどうしてるのかは分かりません。

だって、古事記にはなんにも書かれてないから・・・

 

道具を交換したい山幸彦(ホオリ)

山の猟師を生業(なりわい)にしている三男のホオリでしたが、

実は前々から海での漁にとっても興味がありました。

というか、自分も魚を獲ってみたかった・・・

 

釣り 山幸彦と海幸彦①【神社の神様の神話】

 

そこでホオリは、兄のホデリにこう言いました。

 

ホオリ「お互いの道具を交換してみない?」

ホデリ「ダメだ!」

 

ホデリ、取りつく島もありません・・・

ホオリは、もう3度も提案してみてるんですが、ぜんぜんダメでした・・・

それでもホオリはめげません。

 

ホオリ「おねがいだよ~ 兄ちゃん!」

ホデリ「・・・仕方ないな、ちょっとだけだぞ。」

ホオリ「やった~!!」

 

少しの間だけですが、やっと道具を取り換えてもらえました!

喜んだホオリ、さっそく海へ出かけました。

 

釣針を失くしたホオリ(火遠理命)

意気揚々と釣りに出かけたホオリでしたが・・・

 

ホオリ「・・・」

ホオリ「・・・・・」

ホオリ「・・・・・・・」

 

魚は一匹も釣れません・・・

なんだか全然楽しくありません・・・

 

ホオリ「あ~もう!!」

 

そして力任せに竿を引き上げた時、

 

ブチっ!!

 

ホオリ「えっ・・・?」

 

恐る恐る竿を引き上げてみると、なんと糸の先の釣針がなくなっていたのでした・・・

 

釣針の無い竿 【神社の神様の神話】山幸彦と海幸彦①

 

ホオリ「ヤバい・・・」

 

ちょうどそこにやって来た兄のホデリ。

なんか変な言葉をつぶやいています。

 

ホデリ「山さちも 己(おの)がさちさち、海さちも 己がさちさち。」

 

どうやら、こう言いたかったようです。

山の幸も海の幸も、自分の道具でなきゃ獲物なんて取れないよ。

 

ホデリ「というわけだから、俺の道具を返して。」

ホオリ「それが・・・」

ホデリ「うん・・・?」

ホオリ「1匹も釣れずに、釣針を失くしちゃったよ・・・」

 

それを聞いたホデリ兄さん、

 

ホデリなんだと~!?

ホデリ返せよ!今すぐ返せ!! 返せ返せ~!!!

 

もう、すごい勢いで返還請求・・・

そこでホオリは、腰に差していた十束剣(とつかのつるぎ)を砕き、

釣針を500個も作って償おうとしたけど、受け取ってもらえませんでした。

ホオリは、さらに1000個の釣針を作って渡そうとしたけど

 

ホデリ「あの釣針を返せ!!」

 

と、兄の反応はとっても頑固でした・・・

 

塩椎神(シオツチガミ)の助け

ホオリが海辺で途方に暮れていると、海の向こうから誰かがやって来ます・・・

 

海の向こう【神社の神様の神話】山幸彦と海幸彦①

 

塩椎神(シオツチガミ)のお爺さんです!

 

塩椎神(シオツチガミ)

潮流を司る神様。製塩の神様としても信仰されています。

 

シオツチ「なんで泣いとるのじゃ?」

 

ホオリは今までのことを、シオツチに話しました。

 

シオツチ「それは難儀じゃのお。どれ、ワシに名案がある・・・」

 

シオツチはそう言うと、竹で隙間なく編んだ船を造り、ホオリを乗せました。

そして、ホオリに名案を話して聞かせます。

 

塩椎神(シオツチガミ)の名案

 

ワシがこの船を押し流すから、そのまま進むのじゃ。

その先に良い海流があるから、それに乗って進みなされ。

すると、魚のウロコのように作られた宮殿がある。海神 綿津見神(ワダツミ)の宮殿じゃ。

宮殿の門のそばの井戸の上には、神聖な桂の木がある。

その木の上に座っておれば、海神の娘がなにかと取り計らってくれるじゃろう。

 

 

ホオリ「わかったよ! ありがとう!」

 

こうしてホオリは、海原へと冒険の旅に出たのでした。

つづく

次の話:山幸彦と海幸彦② 火遠理命(ホオリ)と豊玉毘売(トヨタマビメ)

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