前回、兄 火照命(ホデリ)の釣針を失くしてしまった火遠理命(ホオリ)。
なんど償いをしても受け取ってもらえず、
「あの釣針を返せ!」と執拗に迫られました。
そして途方に暮れていたホオリの前に現れた塩椎神(シオツチガミ)は、
海神 綿津見神(ワダツミ)の宮殿へ行けと言うのですが・・・
ホオリ(火遠理命)海神の宮殿へ行く
ホオリは、塩椎神(シオツチガミ)に言われた通り、海へ繰り出しました。
沖へ出て、良い海流に乗ってどんどん進むと、
前方に魚のウロコで作ったような宮殿が見えてきました!
シオツチの言っていた、海神 綿津見神(ワダツミ)の宮殿です。
ホオリ(火遠理命)と宮殿の侍女
宮殿の門まで来たホオリ、そばに井戸と桂の木があるのを確認します。
ホオリは、シオツチに言われた通り桂の木に登り、上のほうに座りました。
ホオリ「さて、これからどうしたもんか・・・」
座ったのは良いのですが、次に何をすれば良いのか分かりません・・・
シオツチは、ここから先のことは何も言ってませんでした・・・
その時です。誰かが井戸にやって来ました!
どうも、海神の娘 豊玉毘売(トヨタマビメ)の侍女のようです。
手には玉器(たまもい:美しい器)を持っています。
侍女は井戸で水を汲もうとしたのですが、ふとその動きを止めました。
井戸の水に、なにやら光が反射しているのに気づいたんです。
そして上を見上げます・・・
侍女「えっ・・・・」
木の上に美しい男が座っているのを見た侍女、あまりの不思議さに思考停止・・・
ホオリはその時、名案を思いつきました!
ホオリ「すまんが、水が欲しい。」
侍女はすぐに玉器に水を汲み、ホオリに差し出しました。
受取ったホオリは水は飲まずに、首飾りから玉をひとつ取り出して口に含むと、
もごもごもご・・・
ぺっ
器の中に吐き出しました。
侍女はその玉を取ろうとしましたが、器にくっついてしまって取れません。
仕方ないので、玉がくっついたままの器を、トヨタマビメに差し出しました。
豊玉毘売(トヨタマビメ)と火遠理命(ホオリ)
トヨタマビメ「なに、この玉・・・」
侍女「それが・・・」
トヨタマビメ「もしかして、外に誰かいるの?」
侍女は、今までのいきさつを報告しました。
話を聞いたトヨタマビメ、外に出て確かめてみます・・・
そして、木の上の美しい男性を見あげると・・・
ずきゅん♡
トヨタマビメは、ホオリに一目惚れしてしまいました。
トヨタマビメは、すぐに父のところへ行きました。
トヨタマビメ「パパ、外にイケメンがいる♡」
ワダツミ「イケメン・・・?」
ワダツミは、すぐに外に出て確認してみました。
そして、ホオリの姿を見ると、驚いて飛び上がりました!
ワダツミ「この方は天津日高(あまつひこ)の御子の虚空津日高(ソラツヒコ)じゃないか!」
天津日高(あまつひこ)
天津神を讃えた美しい呼び方。
虚空津日高(ソラツヒコ)
火遠理命のこと。
綿津見神(ワダツミ)、火遠理命(ホオリ)を歓待する
ホオリがアマテラスの孫であることを、ひと目で見抜いたワダツミ。
ホオリをすぐに宮殿に招き入れると、アシカの皮の敷物を八枚も重ねて敷き、
さらに絹の敷物を八枚も敷いて、その上にホオリを座らせました。
そして始まる大歓待!
百取の机代の物(ももとりの つくえしろ のもの:たくさんの飲食物)を用意して、ホオリに御馳走をしました。
そして、ホオリとトヨタマビメを、すぐに結婚させてしまいましたとさ。
百取の机代の物(ももとりの つくえしろ のもの)
テーブルに乗せた、たくさんの飲み物や食べ物、料理。
婚礼の時などにも出される。
あれ・・・?
結婚しましたって・・・
釣針のことはどうなったんでしょうか・・・
つづく