スサノオの活躍② 須佐之男と櫛名田比売(クシナダヒメ)

【神社の神様の神話]須佐之男命と八岐大蛇
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前回、高天原を追放された後、大気津比売神(オオゲツヒメ)に食べ物を求めた須佐之男命(スサノオ)

快く食事を提供してくれたオオゲツヒメでしたが、食材を口やお尻から出しているのを見てしまい・・・

スサノオは怒りのあまり、オオゲツヒメを殺してしまいました。

 

さて、今回はスサノオが地上に降りたってからのお話です!

前の話:スサノオの活躍① オオゲツヒメのヤバい料理…

スサノオ、櫛名田比売(クシナダヒメ)に出逢う

高天原を追放されたスサノオは、地上界に降りました。

降り立った場所は、出雲国の肥河(ヒノカワ)の上流にある、鳥髪(トリカミ)の地。

肥河(ヒノカワ)とは、現在の島根県の斐伊川のこと。

 

ふと川を見ると、上流から箸が流れてきます。

 

【神社の神様の神話]須佐之男命とクシナダヒメ

 

スサノオ「おっ、上流に誰か住んでるな。」

 

スサノオはその誰かを探して、上流へ向かいます。

しばらく歩くと前方に人影が見えました!

やっぱり誰か住んでいたのか!

 

でも様子がおかしい・・・

老夫婦が、若い娘を挟んで泣いていたんです。

 

スサノオ「だれ? お前たち。」

老夫「わしは国津神大山津見神(オオヤマツミノカミ)の子で、足名椎(アシナヅチ)ですじゃ。」

老父「妻の名前は手名椎(テナヅチ)、娘の名前は櫛名田比売(クシナダヒメ)ですじゃ。」

 

どうやら、山の神の子孫のようです。

 

スサノオ「ふ~ん。で、なんで泣いてんの?」

アシナヅチ「ワシには8人の娘がおったんじゃが・・・」

アシナヅチ「あの高志(こし)の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に、毎年ひとりずつ食べられていましてのう・・・」

アシナヅチ「もうすぐ、またヤマタノオロチが来る頃なのです。それで泣いていましたんじゃあ・・・」

 

高志(こし)とは越国(こしのくに)のこと。今の福井県敦賀市から山形県庄内地方の一部までの地域。

 

スサノオ「そいつって、どんな形してる?」

アシナヅチ「それはもう恐ろしい姿で・・・」

 

アシナヅチの話によると、八岐大蛇の目はホオズキのように赤く、ひとつの体に頭と尾が八つもある怪物なんだとか。

 

アシナヅチ「そう、体には蘿(つた)や杉や檜がびっしり生えておりましたなあ・・・」

アシナヅチ「八つの谷と八つの峰に届くほどの長さで、腹を見るといつも血がにじんどりました。」

 

そこで、スサノオが突飛なことを言っちゃいます。

 

【神社の神様の神話]須佐之男命

 

サノオ「じゃあさ、あんたの娘を俺に差し出せば?」

アシナヅチ(え・・・、何言ってんのこいつ・・・)

アシナヅチ「でもねえ、あなたの名前も知りませんのでなあ・・・」

スサノオ「俺はアマテラスの弟さ! いま天上界から降りてきたところだ。」

アシナヅチ「・・・!!」

 

アシナヅチ、この言葉を聞いてガラッと態度が変わりました。

 

アシナヅチ「ぜひ娘を差し上げましょう!!」

 

スサノオの作戦

さあ、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)との戦いに向けた準備が始まります!

スサノオはクシナダヒメの姿を爪型の櫛に変え、自分のミズラに刺しました。

 

【神社の神様の神話]スサノオとクシナダヒメ

 

そして、スサノオは両親へこう指示します。

 

八塩折(ヤシオリ)の酒を造れ!

(八塩折の酒とは、なんども繰り返し醸造した強い酒のこと)

垣根の囲いを作って、八つの入口を作れ!

入口ごとに台を作って酒桶を置き、 濃い八塩折の酒で満たせ!

須佐之男命と八岐大蛇【神社の神様の神話]

 

スサノオ「準備が終わったら待ってろ。」

 

現れた八岐大蛇(ヤマタノオロチ)!

アシナヅチとテナヅチは、スサノオに言われた通りの準備を終えて待っていました。

すると・・・

とうとう八岐大蛇が現れました!

アシナヅチの言っていた通りの恐ろしい姿です・・・

 

クシナダヒメを食べようと探していた八岐大蛇。

ふと見ると、美味しそうな酒が置いてあります。

 

八岐大蛇「これは美味そうな酒じゃあ!」

 

八岐大蛇は、八つの頭を酒桶に突っ込みました。

 

グビグビグビ~!

 

一気に飲み干します。

八岐大蛇【神社の神様の神話]須佐之男命そして、その場で寝てしまいました。

強い酒を飲んで酔っぱらってしまったのでしょう。

 

それを隠れて見ていたスサノオ、おもむろに十拳剣(とつかのつるぎ)を抜くと、

 

ザシュッ! 

ザシュッ!! 

ザシュッ!!! 

 

八岐大蛇を切り刻んでいきます!

切るたびに大量の血があふれ出し、川を赤く染めて流れていきました。

スサノオはつづけて切り刻んでいきました。

そして尾を切っていたときでした。

 

ガキッ!

 

なにか硬いものに当たったようです。

剣の刃が欠けてしまいました・・・

 

スサノオ「なんだ・・・?」

 

確かめてみると、なにか輝くものが・・・

 

草薙の剣【神社の神様の神話]須佐之男命

 

それはなんと、美しく輝く神剣 草薙剣くさなぎのつるぎ)でした!

草薙剣(くさなぎのつるぎ)

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)とも呼ばれる神剣です。

後世、あの 日本武尊やまとたけるのみこと)が草原で火攻めにあったとき、

この剣で草を薙(な)いで防いだ、という逸話があります。

それで草薙剣と呼ばれるようになりました。

そしてこの剣こそが三種の神器のひとつです。

 

スサノオの神剣

スサノオが八岐大蛇の退治に使った剣も、神剣のひとつです。

剣の名は神話を記した書物によって違います。

たとえばこんな名前・・・

 

天羽々斬(あめのはばきり)

布都斯魂剣(ふつしのみたまのつるぎ)

蛇之麁正(おろちのあらまさ)

 

古事記では、ただの一般名称である 十拳剣(とつかのつるぎ)としか書かれていません。

「拳10個分の長さの剣」、という意味です。

 

 

こうして八岐大蛇を倒し、神剣まで手に入れたスサノオ。

世界一の乱暴者は、ここに英雄となったのです!

次に続く

次の話:スサノオの活躍③ 須佐之男、日本初の和歌を詠む

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