日本の神話に登場する神様 八十神(ヤソガミ)。
あの偉大な神様 大国主大神の兄神たちです。
神話には悪役として登場するんですが、
それがかなり面白いんです。
八十神の神話をご紹介します!
八十神(ヤソガミ)とはどんな神様?
実は、八十神(ヤソガミ)とは、ひとりの神様の名前ではありません。
あの出雲の偉大な神様 大国主大神のたくさんの兄たちを、みんなひっくるめて八十神と呼んじゃいます。
要するに、神話では個人名さえ出てこない脇役・・・
そして悪役のポジション。
でも、この八十神が絡む神話がかなり面白いんです!
八十神(ヤソガミ)とは「たくさんの神」という意味であり、神様が80柱いる訳ではないようです・・・
古事記では「たくさん」や「とても大きい」ことを表現するのに、「八」の字がよく使われているんです。
たとえば、八咫鏡(やたのかがみ)はとっても大きい鏡。
八咫烏(やたがらす)はとっても大きいカラス。
八十神が登場する神話は「大国主の国作り」
八十神が登場する神話は「国作り」の神話で、末の弟のオオナムチが主人公。
ひ弱なオオナムチが成長して大国主大神となり、地上界に偉大な国を作り上げるまでのお話です。
八十神はその神話の最初の方に、悪役として登場しています。
八十神は因幡の白兎にひどい嘘をついた
ある日のこと。
因幡に八上比売(ヤガミヒメ)という、とっても美しい姫がいると聞き、八十神兄さんたちは求婚しに出かけます。
オオナムチも荷物持ちとして参加し、行列の最後をひとり遅れて歩いていました。
八十神兄さんたちが岬を歩いていると、皮をはがれて苦しむ一羽のウサギに出会いました。
あの有名な因幡の白兎です。
苦しむウサギに、八十神兄さんたちはこう教えてあげます。
八十神「海水浴びて~、風に当たって~、山の上で寝てれば治るさ~」
八十神のアドバイス通りに実行したウサギは・・・
ウサギ「んぎゃ~~!もっと痛くなった~!!」
海水が乾くと、皮膚がヒビだらけになって激痛に襲われたんです!
八十神兄さんたちは、ウサギに嘘を教えていたんです・・・
結局ウサギは、遅れて通りかかったオオナムチから正しい治療法を教わり、傷を治すことができたのでした。
そしてこの時、ウサギが恋の予言をするんです・・・
ウサギ「あなたは、今はそんな従者のような卑しい仕事をしてるけど・・・」
ウサギ「八上比売(ヤガミヒメ)と結婚するのはオオナムチ様なんです!!」
この予言は実現するのですが、それが八十神兄さんたちの強烈な嫉妬を招いてしまうことになります・・・
詳しい神話:大国主の国作り① 因幡の白兎は恋の預言者
八十神兄さんたちはオオナムチに嫉妬する
ヤガミヒメ「私が結婚するのはオオナムチ様なの♡」
そう言って求婚を断られた八十神兄さんたち。
その怒りの矛先は、オオナムチに向かいました・・・
八十神「オオナムチさえいなければ・・・」
八十神「あいつを殺してしまえ・・・!」
こうして八十神兄さんたちの陰謀が始まります・・・
ある日のこと。
八十神兄さんたちはオオナムチを殺すため、山に連れていきました。
八十神「この山には赤猪がいるんだよ。」
八十神「俺らが猪を下の方に追い込むから、お前は待ち伏せて捕まえろ。」
八十神「ちゃんとやらないと殺すぞ!」
オオナムチ「わかったよ・・・」
みんな配置について、いよいよ猪狩り開始!
のはずが・・・
八十神は、猪に似た大きな石を火で焼いて、山の上から転がしました。
八十神「死んでしまえ~!」
そんなこととは知らず、下で待ち伏せしていたオオナムチ。
焼けた大石を猪だと思い込んで、立ち向かっていきます。
オオナムチ「うぉ~~! って、あれ!?」
ドッカ~ン!
オオナムチは焼け石につぶされ、あっけなく死んでしまいました・・・
でも・・・
いろいろあって、オオナムチはあっさり生き返っちゃいました。
詳しい神話:大国主の国作り② 八十神の陰謀…生き抜けオオナムチ!
八十神はオオナムチを2度殺す
殺したはずのオオナムチが、ピンピンしていることに驚いた八十神兄さんたち・・・
八十神「今度こそ殺してやる!」
と、再び陰謀を企てます・・・
今度は大きな木にくさびを入れて割れ目を作ります。
大木はもう倒れる寸前・・・
そしてその割れ目にオオナムチを入れ、くさびを抜くと・・・
グラグラグラ・・・
ドッコ~ン!!
大木は一気に倒れ込み、オオナムチを挟み殺してしまいました。
でも・・・
またまたオオナムチは、いともあっさり生き返ります・・・
詳しい神話:大国主の国作り③ 八十神の陰謀Ⅱ オオナムチは2度死ぬ…
八十神はオオナムチを3度殺そうとする
オオナムチがまた生き返り、いまは木国(きのくに:紀州)の大屋毘古神(オオヤビコ)のところに身を寄せている・・・
それを知った八十神兄さんたち、またまたオオナムチを殺しに向かいます。
何という執念!
そこまでするほどに、八上比売(ヤガミヒメ)は美しかったんでしょうか・・・
オオヤビコのところに着くと、家を取り囲む八十神兄さんたち。
弓矢を構えて威嚇すると、オオナムチを引き渡せと強く迫ります。
そして、とうとう家に踏み込みました!
しかし・・・
そこにオオナムチの姿はありませんでした・・・
大屋毘古神が、オオナムチを逃がした後だったんです。
ちなみに、オオナムチが逃げた先は、死者の国に住むという、英雄 須佐之男命(スサノオ)のところ。
オオナムチはスサノオの与えた数々の試練を乗り越え、偉大なる神となって地上界に舞い戻ってくることになります。
そして八十神兄さんたちは・・・
詳しい神話:大国主の国作り④ スサノオとの出逢いと新たな試練
八十神はオオナムチに滅ぼされる
それから後のこと。
逃げ隠れていたオオナムチが、地上界に戻って来ました。
八十神兄さんたちは、またオオナムチを殺そうとするのでしょうか・・・?
いいえ・・・
その逆です・・・
偉大な神となった大国主(オオナムチ)によって、八十神兄さんたちは討伐されてしまいます。
ある兄は山の裾に追いこまれ・・・
またある兄は川の瀬に追い詰められ・・・
みんな倒されてしまったのでした・・・
詳しい神話:大国主の国作り⑥ 最後の試練とオオナムチの駆け落ち
その後、オオナムチは偉大な国を作り上げる
その後、大国主(オオナムチ)は、地上界に偉大な国 葦原の中つ国を作り上げました。
葦原の中つ国は、天上界の天照大御神が妬むほどに大繁栄したのでした。